◇「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」(抜粋)
「工場等に係る事業者の判断の基準」の概要
対象 | 管理・基準 | 計測及び記録 | 保守及び点検 | 新設・更新に当たっての措置 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
(1) 燃料の燃焼の合理化 |
ア.燃料の燃焼の管理は、燃料の燃焼を行う設備(以下「燃焼設備」という。)及び使用する燃料の種類に応じて、空気比についての管理標準を設定。 イ.ア.の管理標準は、別表第1(A)に掲げる空気比の値を基準として空気比を低下させるように設定。 ウ.複数の燃焼設備を使用するときは、燃焼設備全体としての熱効率が高くなるように管理標準を設定し、それぞれの燃焼設備の燃焼負荷を調整。 エ.燃料を燃焼する場合には、燃料の粒度、水分、粘度等の性状に応じて、燃焼効率が高くなるよう運転条件に関する管理標準を設定し、適切に運転。 |
|
|
ア.燃焼設備を新設・更新する場合には、必要な負荷に応じた設備を選定。 イ.燃焼設備を新設・更新する場合には、バーナー等の燃焼機器は、燃焼設備及び燃料の種類に適合し、かつ、負荷及び燃焼状態の変動に応じて燃料の供給量及び空気比を調整できるものとする。 ウ.燃焼設備を新設・更新する場合には、通風装置は、通風量及び燃焼室内の圧力を調整できるものとする。 |
||
(2) 加熱及び冷却並びに伝熱の合理化 |
(2-1)加熱設備等 | |||||
ア.蒸気等の熱媒体を用いる加熱設備、冷却設備、乾燥設備、熱交換器等は、加熱及び冷却並びに伝熱(以下「加熱等」という。)に必要とされる熱媒体の温度、圧力及び量並びに供給される熱媒体の温度、圧力及び量について管理標準を設定し、熱量の過剰な供給をなくす。 イ.加熱、熱処理等を行う工業炉は、設備の構造、被加熱物の特性、加熱、熱処理等の前後の工程等に応じて、熱効率を向上させるように管理標準を設定し、ヒートパターンを改善。 ウ.加熱等を行う設備は、被加熱物又は被冷却物の量及び炉内配置について管理標準を設定し、過大負荷及び過小負荷を避ける。 エ.複数の加熱等を行う設備を使用するときは、設備全体としての熱効率が高くなるように管理標準を設定し、それぞれの設備の負荷を調整。 オ.加熱を反復して行う工程においては、管理標準を設定し、工程間の待ち時間を短縮。 カ.加熱等を行う設備で断続的な運転ができるものは、管理標準を設定し、運転を集約化。 キ.ボイラーへの給水は、伝熱管へのスケールの付着及びスラッジ等の沈澱を防止するよう水質に関する管理標準を設定。給水の水質の管理は、日本産業規格B8223(ボイラーの給水及びボイラー水の水質)に規定するところ(これに準ずる規格を含む。)により行う。 ク.蒸気を用いる加熱等を行う設備は、不要時に蒸気供給バルブを閉止。 ケ.加熱等を行う設備で用いる蒸気は、適切な乾き度を維持。 コ.その他、加熱等の管理は、被加熱物及び被冷却物の温度、加熱等に用いられる蒸気等の熱媒体の温度、圧力及び流量その他の加熱等に係る事項についての管理標準を設定。 |
|
|
ア.加熱等を行う設備を新設・更新する場合には、必要な負荷に応じた設備を選定。 イ.加熱等を行う設備を新設・更新する場合には、次に掲げる事項等の措置を講じることにより、エネルギーの効率的利用を実施。 (ア)熱交換に係る部分には、熱伝導率の高い材料を用いる。 (イ)熱交換器の配列の適正化により総合的な熱効率を向上させる。 (ウ)工業炉の炉内壁面等については、その性状及び形状を改善することにより、放射率の向上を図る。 (エ)加熱等を行う設備については、その性状及び形状を改善することにより、伝熱性の向上を図る。 (オ)工業炉の炉体、架台及び治具、被加熱物を搬入するための台車等は、熱容量の低減を図る。 (カ)直火バーナー、液中燃焼等により被加熱物を直接加熱することが可能な場合には、直接加熱を行う。 (キ)蒸留塔については、運転圧力の適正化、段数の多段化等による還流比の低減、蒸気の再圧縮、多重効用化等を採用。 (ク)加熱等を行う設備の制御方法等の改善により、熱の有効利用を図る。 (ケ)被加熱材の水分の事前除去、予熱、予備粉砕等の事前処理によりエネルギーの使用の合理化が図れる場合には、適切な予備処理を実施。 (コ)ボイラー、冷凍機、ヒートポンプ等の熱利用設備を設置する場合には、小型化し分散配置すること又は蓄熱設備を設けることによりエネルギーの使用の合理化が図れるときは、その方法を採用。 (サ)ボイラー、ヒートポンプ、工業炉並びに蒸気、温水等の熱媒体を用いる加熱設備及び乾燥設備等の設置については、使用する温度レベル等を勘案し熱効率の高い設備を採用するとともに、その特性、種類を勘案し、設備の運転特性及び稼動状況に応じて、所要動力に見合った容量のものを採用。 |
|||
(2-2)空気調和設備、給湯設備 | ||||||
|
|
|
|
|||
(2-2)-2 太陽熱利用機器等 | ||||||
|
|
|
|
|||
(3) 廃熱の回収利用 |
ア.排ガスの廃熱の回収利用は、排ガスを排出する設備等に応じ、廃ガスの温度又は廃熱回収率について管理標準を設定。 イ.ア.の管理標準は、別表第2(A)に掲げる廃ガス温度及び廃熱回収率の値を基準として廃ガス温度を低下させ廃熱回収率を高めるように設定。 ウ.蒸気ドレンの廃熱の回収利用は、廃熱の回収を行う蒸気ドレンの温度、量及び性状の範囲について管理標準を設定。 エ.加熱された固体若しくは流体が有する顕熱、潜熱、圧力、可燃性成分等の回収利用は、回収を行う範囲について管理標準を設定。 オ.排ガス等の廃熱は、原材料の予熱等その温度、設備の使用条件等に応じた適確な利用に努める。 |
|
|
ア.廃熱を排出する設備から廃熱回収設備に廃熱を輸送する煙道、管等を新設・更新する場合には、空気の侵入の防止、断熱の強化その他の廃熱の温度を高く維持するための措置を講ずる。 イ.廃熱回収設備を新設・更新する場合には、廃熱回収率を高めるように伝熱面の性状及び形状の改善、伝熱面積の増加等の措置を講ずる。また、蓄熱設備やヒートポンプ等の採用等により、廃熱利用が可能となる場合にはこれらを採用。 |
||
(4) 熱の動力等への変換の合理化 |
(4-1)蒸気駆動の動力設備 | |||||
|
|
|
ア.蒸気を減圧して使用している場合や余剰蒸気を回収する場合には、蒸気を動力源とするポンプやコンプレッサー等への利用を図る。 イ.蒸気駆動の動力設備については、蒸気の使用状態を把握するとともに、電動力応用設備と比較検討して採用。 |
|||
(4-2)発電専用設備 | ||||||
ア.発電専用設備にあっては、高効率の運転を維持できるよう管理標準を設定して運転の管理をする。また、複数の発電専用設備の並列運転に際しては、個々の機器の特性を考慮の上、負荷の増減に応じて適切な配分がなされるように管理標準を設定し、総合的な効率の向上を図る。 イ.火力発電所の運用に当たって蒸気タービンの部分負荷における減圧運転が可能な場合には、最適化について管理標準を設定。 ウ.発電専用設備の利用にあっては、熱利用等の総合的な発電効率の向上に資する取組等を行うこと。 |
|
|
ア.発電専用設備を新設する場合には、電力の需要実績と将来の動向について十分検討を行い、適正規模の設備容量のものを採用。 イ.発電専用設備を新設する場合には、国内の火力発電専用設備の平均的な受電端発電効率と比較し、年間で著しくこれを下回らないものを採用。この際、別表第5に掲げる電力供給業に使用する発電専用設備を新設する場合には、別表第2の2に掲げる発電効率以上のものを採用。 |
|||
(4-2)-2 太陽光発電設備等 | ||||||
|
|
|
|
|||
(4-3)コージェネレーション設備 | ||||||
|
|
|
|
|||
(5) 放射、伝導、抵抗等によるエネルギーの損失の防止 |
(5-1)放射、伝導等による熱の損失の防止 | |||||
ア.熱媒体及びプロセス流体の輸送を行う配管その他の設備並びに加熱等を行う設備(以下「熱利用設備」という。)の断熱化の工事は、日本産業規格A9501(保温保冷工事施工標準)及びこれに準ずる規格に規定するところにより行う。 イ.工業炉を新たに炉床から建設するときは、別表第3(A)に掲げる炉壁外面温度の値(間欠式操業炉又は1日の操業時間が12時間を超えない工業炉のうち、炉内温度が500℃以上のものにあっては、別表第3(A)に掲げる炉壁外面温度の値又は炉壁内面の面積の70パーセント以上の部分をかさ密度の加重平均値1.0以下の断熱物質によって構成すること。)を基準として、炉壁の断熱性を向上させるように断熱化の措置を講ずる。また、既存の工業炉についても施工上可能な場合には、別表第3(A)に掲げる炉壁外面温度の値を基準として断熱化の措置を講ずる。 |
|
ア.熱利用設備は、断熱工事等熱の損失の防止のために講じた措置の保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 イ.スチームトラップは、その作動の不良等による蒸気の漏えい及びトラップの詰まりを防止するように保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 |
ア.熱利用設備を新設・更新する場合には、断熱材の厚さの増加、熱伝導率の低い断熱材の利用、断熱の二重化等断熱性を向上させる。また、耐火断熱材を使用する場合は、十分な耐火断熱性能を有する耐火断熱材を使用。 イ.熱利用設備を新設・更新する場合には、熱利用設備の開口部は、開口部の縮小又は密閉、二重扉の取付け、内部からの空気流等による遮断等により、放散及び空気の流出入による熱の損失を防止。 ウ.熱利用設備を新設・更新する場合には、熱媒体を輸送する配管の経路の合理化、熱源設備の分散化等により、放熱面積を低減。 エ.熱利用設備の回転部分、継手部分等については、シールを行う等の熱媒体の漏えいを防止するための措置を講じる。 オ.開放型の蒸気使用設備、開放型の高温物質の搬送設備等については、おおいを設けることにより、放散又は熱媒体の拡散による熱の損失の低減を図る。ただし、搬送しながら空冷する必要がある場合は、この限りでない。 |
|||
(5-2)抵抗等による電気の損失の防止 | ||||||
ア.変圧器及び無停電電源装置は、部分負荷における効率を考慮して、変圧器及び無停電電源装置の全体の効率が高くなるように管理標準を設定し、稼働台数の調整及び負荷の適正配分を行う。 イ.受変電設備の配置の適正化及び配電方式の変更による配電線路の短縮、配電電圧の適正化等について管理標準を設定し、配電損失を低減。 ウ.受電端における力率は、95パーセント以上とすることを基準として、別表第4に掲げる設備又は変電設備における力率を進相コンデンサの設置等により向上させる。ただし、発電所の所内補機を対象とする場合はこの限りでない。 エ.進相コンデンサは、これを設置する設備の稼働又は停止に合わせて稼働又は停止させるように管理標準を設定して管理。 オ.三相電源に単相負荷を接続させるときは、電圧の不平衡を防止するよう管理標準を設定。 カ.電気を使用する設備の稼働について管理標準を設定し、調整することにより、工場における電気の使用を平準化して最大電流を低減。 キ.その他、電気使用設備への電気の供給の管理は、電気使用設備の種類、稼働状況及び容量に応じて、受変電設備及び配電設備の電圧、電流等電気の損失を低減するために管理標準を設定。 |
|
|
ア.受変電設備及び配電設備を新設・更新する場合には、電力の需要実績と将来の動向について十分な検討を行い、受変電設備の配置、配電圧、設備容量を決定。 イ.特定機器に該当する受変電設備に係る機器を新設・更新する場合は、当該機器に関する性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準に規定する基準エネルギー消費効率以上の効率のものの採用を考慮。 |
|||
(6) 電気の動力、熱等への変換の合理化 |
(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等 | |||||
ア.電動力応用設備は、電動機の空転による電気の損失を低減するよう、始動電力量との関係を勘案して管理標準を設定し、不要時の停止を行う。 イ.複数の電動機を使用するときは、部分負荷における効率を考慮して、電動機全体の効率が高くなるように管理標準を設定し、稼働台数の調整及び負荷の適正配分を行う。 ウ.ポンプ、ファン、ブロワー、コンプレッサー等の流体機械は、使用端圧力及び吐出量の見直しを行い、負荷に応じた運転台数の選択、回転数の変更等に関する管理標準を設定し、電動機負荷を低減する。なお負荷変動幅が定常的な場合は、配管やダクトの変更、インペラーカット等の対策を検討。 エ.誘導炉、アーク炉、抵抗炉等の電気加熱設備は、被加熱物の装てん方法の改善、無負荷稼働による電気の損失の低減、断熱及び廃熱回収利用に関して管理標準を設定し、その熱効率を向上させる。 オ.電解設備は、適当な形状及び特性の電極を採用し、電極間距離、電解液の濃度、導体の接触抵抗等に関して管理標準を設定し、その電解効率を向上させる。 カ.その他、電気の使用の管理は、電動力応用設備、電気加熱設備等の電気使用設備ごとに、その電圧、電流等電気の損失を低減するために必要な事項についての管理標準を設定。 |
|
ア.電動力応用設備は、負荷機械、動力伝達部及び電動機における機械損失を低減するように保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 イ.ポンプ、ファン、ブロワー、コンプレッサー等の流体機械は、流体の漏えいを防止し、流体を輸送する配管やダクト等の抵抗を低減するように保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 ウ.電気加熱設備及び電解設備は、配線の接続部分、開閉器の接触部分等における抵抗損失を低減するように保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 |
ア.電動力応用設備、電気加熱設備等を新設・更新する場合には、必要な負荷に応じた設備を選定し、エネルギーの効率的利用を実施。 イ.電動力応用設備については、常時負荷変動の大きい状態で使用することが想定されるような設備を新設・更新する場合には、負荷変動に対して稼動状態を調整しやすい設備構成のものを採用。 ウ.電動機については、その特性、種類を勘案し、負荷機械の運転特性及び稼動状況に応じて所要出力に見合った容量のものを配置。 エ.(略) |
|||
(6-2)照明設備、昇降機、事務用機器、民生用機器 | ||||||
ア.照明設備は、日本産業規格Z9110(照度基準)又はZ9125(屋内作業場の照明基準)及びこれらに準ずる規格に規定するところにより管理標準を設定して使用する。また、調光による減光又は消灯についての管理標準を設定し、過剰又は不要な照明をなくすこと。 イ.昇降機は、時間帯や曜日等により停止階の制限、複数台ある場合には稼働台数の制限等に関して管理標準を設定し、効率的な運転を行う。 ウ.事務用機器は、不要時において適宜電源を切るとともに、低電力モードの設定を実施。 |
|
ア.照明設備は、照明器具及びランプ等の清掃並びに光源の交換等保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 イ.昇降機は、電動機の負荷となる機器、動力伝達部及び電動機の機械損失を低減するよう保守及び点検に関する管理標準を設定。定期的に保守及び点検を行う。 ウ.事務用機器は、必要に応じ定期的に保守及び点検を行う。 |
ア.照明設備、昇降機を新設・更新する場合には、必要な照度、輸送量に応じた設備を選定。 イ.照明設備を新設・更新する場合には、次に掲げる事項等の措置を講じることにより、エネルギーの効率的利用を実施。 (ア)LED(発光ダイオード)照明器具等の省エネルギー型設備を採用する。 (イ)清掃、光源の交換等の保守が容易な照明器具を選択するとともに、その設置場所、設置方法等についても保守性を考慮して設置。 (ウ)照明器具については、光源の発光効率だけでなく、点灯回路や照明器具の効率及び被照明場所への照射効率も含めた総合的な照明効率の高いものを採用。 (エ)昼光を使用することができる場所の照明設備の回路については、他の照明設備と別回路にする。 (オ)不必要な場所及び時間帯の消灯又は減光のため、人体感知装置の設置、計時装置(タイマー)の利用又は保安設備との連動等の措置を講じる。 ウ.昇降機を新設・更新する場合には、エネルギーの利用効率の高い制御方式、駆動方式の昇降機を採用する等の措置を講じることにより、エネルギーの効率的利用を実施。 エ.特定エネルギー消費機器に該当する照明設備に係る機器、事務用機器及び民生用機器を新設・更新する場合には、当該機器に関する性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準に規定する基準エネルギー消費効率以上の効率のものを採用。 |