当小委員会は、電子計算機及び磁気ディスク装置のエネルギー消費効率等について、電子計算機及び磁気ディスク装置の製造事業者または輸入事業者(製造事業者等)の判断の基準となるべき事項について審議を行い、以下のとおり中間とりまとめを行った。
T.電子計算機について
1.対象とする範囲
 日本標準商品分類に定めるディジタル型中央処理装置(5211)及びパーソナルコンピュータ(5212)を対象とする。
ただし、1)複合理論性能が10,000MTOPS以上のもの、2)中央演算装置の数を100台以上拡張可能なもの、3)入出力用信号伝送路が512本以上のもの、4)中央演算装置、主記憶装置、入出力用信号伝送路、電源装置がいずれも多重化されており、その多重化された部分で論理的に1つの動作を行い、故障発生時にも停止することなく、処理を継続可能なもの、5)複合理論性能が100MTOPS未満のもの、6)専ら内蔵された電池を用いて、電力線から電力供給を受けることなしに使用されるもののうち、磁気ディスク装置を内蔵していないもの、を除く(別添1「対象とする電子計算機の範囲」参照)。
(注)
・複合理論性能:
  - 省エネ法で定める複合理論性能(単位:1秒当たりのメガ演算)
・入出力用信号伝送路本数:
  - 中央演算装置と主記憶装置とを接続する信号伝送路(当該信号伝送路と同等の転送能力を有するその他の信号伝送路を含む)から1次的に分岐するものであって、グラフィックディスプレイポート若しくはキーボードポート以外のもののうち、転送能力が1秒につき100メガビット以上のものに限る
 2.製造事業者等の判断の基準となるべき事項等
 (1)目標年度 2005年度(別添2「電子計算機の目標年度」参照)
 (2)目標基準値
  1)目標基準値
  - 各電子計算機製造事業者等は、目標年度に国内向けに出荷する電子計算について、(3)で定める方法により測定したエネルギー消費効率を、下の表の区分毎に出荷台数で加重平均した数値が目標基準値を上回らないようにすること。ただし、平成17年度における出荷台数が過去の一年度の最高の出荷台数の10パーセント以下である機種については適用しない。
  
    
      | 製品区分 | 入出力用信号伝送路本数 | 主記憶容量 | 目標基準値 | 区分 | 
    
      | サーバ型 コンピュータ
 | 32本以上 | − | 21 | A | 
    
      | 16本以上(32本未満) | − | 3.6 | B | 
    
      | 8本以上(16本未満) | 16GB以上 | 2.0 | C | 
    
      | 4GB以上(16GB未満) | 2.0 | D | 
    
      | 4GB未満 | 1.4 | E | 
    
      | 4本以上( 8本未満) | 16GB以上 | 1.8 | F | 
    
      | 4GB以上(16GB未満) | 0.41 | G | 
    
      | 4GB未満 | 0.41 | H | 
    
      | 4本未満 | 16GB以上 | 1.8 | I | 
    
      | 4GB以上(16GB未満) | 0.41 | J | 
    
      | 2GB以上( 4GB未満) | 0.29 | K | 
    
      | 2GB未満 | 0.28 | L | 
    
      | クライアント型 コンピュータ
 [電池駆動型
 以外]
 | 2本以上( 4本未満) | 2GB以上( 4GB未満) | 0.19 | M | 
    
      | 1GB以上( 2GB未満) | 0.19 | N | 
    
      | 1GB未満 | 0.17 | O | 
    
      | 2本未満 | 2GB以上( 4GB未満) | 0.19 | P | 
    
      | 1GB以上( 2GB未満) | 0.12 | Q | 
    
      | 1GB未満 | 0.043 | R | 
    
      | クライアント型 コンピュータ
 [電池駆動型]
 | − | − | 0.0065 |  | 
  
  ※目標基準値については、改正後の測定方法により各社が測定した数値をベースとしており、現在、各社のデータを検証しているところであり、確定値ではない。
    (注)
    ・クライアント型コンピュータ:
  
 
  
    - グラフィックディスプレイポート及びキーボードポートを有するもの(グラフィックディスプレイポートに換えてディスプレイ装置を内蔵しているものまたはキーボードポートに換えてキーボードを内蔵しているものを含む)であって、最大主記憶容量が4ギガバイト未満かつ入出力用信号伝送路本数が4本未満のもの
  
  ・クライアント型コンピュータ[電池駆動型]:
 
  - クライアント型コンピュータの内、専ら内蔵された電池を用いて、電力線から電力供給を受けることなしに使用され得るもの
・クライアント型コンピュータ[電池駆動型以外]:
  - クライアント型コンピュータの内、電池駆動型に該当しないもの
・サーバ型コンピュータ:
  - クライアント型コンピュータに該当しないもの
 2)区分と目標基準値設定の経緯
  - 1) 電子計算機を製品特性に応じて、3種類に大きく区分した(別添3.1「電子計算機の目標設定のための区分」参照)。
  - 2) 大区分毎にいかなる性能特性により細区分すべきか検討した(別添3.2「電子計算機の目標設定のための区分」参照)。
  - 3) 1)、2)の結果にしたがい、仮区分案を作成した(別添3.3「電子計算機の目標設定のための区分」参照)。
  - 4) 仮区分毎にトップランナー実測値を調査(平成10年9月現在でデータ収集可能な850機種を調査)し、その上で別添3.4の考え方に基づき、仮区分の整理を行った(別添3.5「電子計算機の目標設定のための区分」参照)。
 (3)測定方法
  - エネルギー消費効率は、次に掲げる方法により測定した消費電力をワット単位で表した数値を複合理論性能をメガ演算単位で表した数値で除した数値とする。ただし、実測が困難な場合には計算式によって算出することを認める。
  - ・周囲温度は16℃〜32℃とすること。
  - ・電源電圧は定格入力電圧+−10%の範囲とすること。ただし、100ボルトの定格入力電圧を有するものについては、100ボルト+−10%の範囲とすること。
  - ・電源周波数は、定格周波数とすること。
  - ・電子計算機の基本機能を損なうことなく電子計算機から着脱することができる入出力用制御装置、通信制御装置、磁気ディスク装置等を除外した範囲での最大構成で測定する。ただし、中央演算装置の数を拡張することが可能であるものについては、最小構成の中央演算装置数で測定するものとする。
  - ・主電源に通電した状態で、初期プログラムを設定し直すことなしに再起動可能な状態(ただし、主記憶装置にプログラム及びデータが保持されている状態に限る。以下「レディーモード」という。)で測定する。また、ACPI(Advanced
    Configuration and Power Interface)規格におけるスタンバイモード、サスペンドモード等、低電力モード機能を有する電子計算機は、レディーモードの条件を満たす場合に限り、その低電力モードで測定することができる。
 (4)表示事項
  - 1)表示事項は次の事項とする。
  - ・品名又は形名
  - ・区分名
  - ・エネルギー消費効率
  - ・製造事業者等の氏名又は名称
  - ・エネルギー消費効率とは、省エネ法で定める測定方法により測定された消費電力を、省エネ法で定める複合理論性能で除したものである旨、注記すること
  - 2)エネルギー消費効率は、有効数字2桁以上(ただし、消費電力が10ワット以下のものについては、有効数字1桁以上)で表示する。
  - 3)表示事項の表示は、性能に関する表示のあるカタログ及び機器の選定にあたり製造事業者等により提示された資料の見やすい箇所に容易に消えない方法で記載して行う。
 3.省エネルギーに向けた提言
  (1)使用者の取り組み
  1)エネルギー消費効率の良い電子計算機の選択に努めるとともに、電子計算機の使用に当たって、適切かつ効率的な使用により省エネルギーを図るよう努めること。
  2)特に、低電力モードを有する電子計算機の使用に当たっては、低電力モードの設定・使用に努めること。
 (2)製造事業者等の取り組み
  1)電子計算機の省エネルギー化のための技術開発を推進し、エネルギー消費効率の良い機器の開発に努めること。
  2)エネルギー消費効率の良い電子計算機の普及を図るため、使用者の理解の促進等を図るよう努めること。
  3)特に、使用者による低電力モードの利用を促進するため、使用者の理解の促進等を図るよう努めること。
  4)エネルギー消費量の削減を図るため、低電力モード機能を有する機器については、可能な範囲であらかじめ当該機能が働く状態にして出荷するよう努めること。
 (3)政府の取り組み
  1)エネルギー消費効率の良い電子計算機の普及を図るため、使用者及び製造事業者等の取り組みを促進するために必要な措置を講じるよう努めること。
 4.判断基準の見直し
  - 電子計算機は、これまでの技術進歩及び市場動向変化が著しいことから、2002年度(平成14年度)中に、2001年度(平成13年度)の実績を踏まえ、判断基準の見直しを検討することとする。
 U.磁気ディスク装置について
 1.対象とする範囲
  - 日本標準商品分類に定める磁気ディスク装置(52131)を対象とする。
  - ただし、1)ディスクの直径が40ミリメートル以下のもの、2)記憶容量が1ギガバイト以下のもの、3)最大データ転送速度が1秒当たり3,200メガバイトを超えるもの、を除く(別添4「対象とする磁気ディスクの範囲」参照)。
(注)
・記憶容量:
  - 物理的に記憶できる最大の記憶容量
・最大データ転送速度:
  - 入出力用信号伝送路当たりの理論的最大データ転送速度と入出力用信号伝送路本数を乗じたもの
 2.製造事業者等の判断の基準となるべき事項等
  (1)目標年度 2005年度(別添5「磁気ディスク装置の目標年度」参照)
 (2)目標基準値
  1)目標基準値
  - 各磁気ディスク装置製造事業者等は、目標年度に国内向けに出荷する磁気ディスク装置について、(3)で定める方法により測定したエネルギー消費効率を、下の表の区分毎に出荷台数で加重平均した数値が目標基準値(当該器機の回転数[rpm]をNとして、下の表の区分に対応する算定式により算定した値をいう。)を上回らないようにすること。ただし、平成17年度における出荷台数が過去の一年度の最高の出荷台数の10パーセント以下である機種については適用しない。
  - 
    【単体ディスク】
       
        
          | ディスクサイズ | ディスク枚数 | 目標基準値 | 区分 |  
          | 75mm超 | 1枚 2〜3枚
 4枚以上
 | exp(2.98*ln(N)-25.6) exp(2.98*ln(N)-26.7)
 exp(2.98*ln(N)-27.2)
 | A B
 C
 |  
          | 40mm超(75mm以下) | 1枚 2〜3枚
 4枚以上
 | exp(2.98*ln(N)-25.6) exp(2.98*ln(N)-26.7)
 exp(2.98*ln(N)-27.6)
 | D E
 F
 |  
 
-  
 【サブシステム】
  
    
      | データ転送速度 | 目標基準値 | 区分 | 
    
      | 160MB/sec超 160MB/sec以下
 | exp(2.00*ln(N)-17.1) exp(2.00*ln(N)-17.2)
 | G H
 | 
  
  ※目標基準値については、改正後の測定方法により各社が測定した数値をベースとしており、現在、各社のデータを検証しているところであり、確定値ではない。
  
 
 (注)
  ・単体ディスク:
  - ディスクドライブが単一のもの
・サブシステム:
  - ディスクドライブを複数有するもの
  - ただし、単体ディスクについては、型名のあるきょう体をもって1台とする。サブシステムについては、磁気ディスク制御部と磁気ディスク装置をあわせて1台とする(電子計算機に内蔵された磁気ディスク制御部のみを用いるものについては、型名のあるきょう体をもって1台とする)
 2)区分と目標基準値設定の経緯
  - 1) 磁気ディスク装置を製品特性に応じて、2種類に大きく区分した(別添6.1「磁気ディスク装置の目標設定のための区分」参照)。
  - 2) 大区分毎にいかなる性能特性により細区分すべきか検討した(別添6.2参照)。
  - 3) 1)、2)の結果にしたがい、仮区分案を作成した(別添6.3参照)。
  - 4) トップランナー実測値(平成10年9月現在でデータ収集可能な524機種を調査)を基にディスク回転数とトップランナー値との関係式を求め、その上で性能(ディスクのサイズ、ディスク枚数、データ転送速度)が上位の区分のトップランナー関係式より、当該区分のトップランナー関係式が悪い値となっている場合、当該区分を上位区分に統合又は上位区分の値を採用し、仮区分の統合を行った(別添6.4、6.5参照)。
 (3)測定方法
  - エネルギー消費効率は、次に掲げる方法により測定した消費電力をワット単位で表した数値を記憶容量をギガバイト単位で表した数値で除した数値とする。ただし、実測が困難な場合には計算式によって算出することを認める。
  - ・周囲温度は16℃〜32℃とすること
  - ・電源電圧は定格入力電圧+−10%の範囲とすること。ただし、100ボルトの定格入力電圧を有するものについては、100ボルト+−10%の範囲とすること
  - ・電源周波数は、定格周波数とすること
  - ・単体ディスクについては、内蔵する制御装置、バッファ用のキャッシュメモリ及びディスクドライブの範囲で測定する
  - ・サブシステムについては、制御装置、バッファ用のキャッシュメモリ、磁気ディスク装置を作動させるために必要な電源及び制御装置に接続可能な最大のディスクドライブ及び最大の入出力用信号伝送路の範囲で測定する
  - ・電源を入力し、直ちにデータの書き込み及び読み取りをすることが可能な状態で測定する
 (4)表示事項
  - 1)表示事項は次の事項とする。
  - ・品名及び形名
  - ・区分名
  - ・エネルギー消費効率
  - ・製造事業者等の氏名又は名称
  - ・エネルギー消費効率とは、省エネ法で定める測定方法により測定された消費電力を、省エネ法で定める記憶容量で除したものである旨、注記すること
  - 2)エネルギー消費効率は、有効数字2桁以上(ただし、消費電力が10ワット以下のものについては、有効数字1桁以上)で表示する。
  - 3)表示事項の表示は、性能に関する表示のあるカタログ及び機器の選定にあたり製造事業者等により提示された資料の見やすい箇所に容易に消えない方法で記載して行う。
 3.省エネルギーに向けた提言
  (1)使用者の取り組み
  1)エネルギー消費効率の良い磁気ディスク装置の選択に努めるとともに、磁気ディスク装置の使用に当たって、適切かつ効率的な使用により省エネルギーを図るよう努めること。
 (2)製造事業者等の取り組み
  1)磁気ディスク装置の省エネルギー化のための技術開発を推進し、エネルギー消費効率の良い機器の開発に努めること。
  Aエネルギー消費効率の良い磁気ディスク装置の普及を図るため、使用者の理解の促進等を図るよう努めること。
 (3)政府の取り組み
  1)エネルギー消費効率の良い磁気ディスク装置の普及を図るため、使用者及び製造事業者等の取り組みを促進するために必要な措置を講じるよう努めること。
 4.判断基準の見直し
  - 磁気ディスク装置は、これまでの技術進歩及び市場動向変化が著しいことから、2002年度(平成14年度)中に、2001年度(平成13年度)の実績を踏まえ、判断基準の見直しを検討することとする
 V.その他
 1.小委員会開催の経緯(別添7参照)
 2.委員名簿(別添8参照) 
3.参考資料(略)
  - 現行基準
- 電子計算機及び磁気ディスク装置の現状について 他 
[ECCJ][中間とりまとめ]