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【ドイツ語版まえがき】
 
どうすればリュックサックを軽くできるか
 
 本書のテーマは何か。それは人類の未来、そして人類が常時背負っている重いリュックサックの軽減に他ならない。リュックサックというこのコンセプトは、1994年に本書の編著者であるフリードリヒ・シュミット=ブレーク博士が、MIPS(サービス単位当たり物質集約度)の概念を理解しやすくするために考案したものである。
 MIPSとは、簡単に言うと、製品やサービスに使用されるエネルギー・原料消費を測定する尺度である。
 私たちが直面している持続可能性という問題をチャンスと捉えるなら、地球上で暮らし続けるためには、原料消費を徹底的に削減しなければならない。そのためにたとえば代替エネルギーといった新しい考えや行動を開発するときにだけ、成果は上がるだろう。そのための解決策があるという。これは朗報だ。本書には革新的で独創的なアイデアが各章に収められており、読者は驚かされるだろう。
 目次から読者の関心をひくに違いないテーマをいくつか選んでみよう。
 
 ■なぜフィンランドの電力はドイツの電力の5倍も効率がよいのか
 ■なぜ多くの分野で、使い捨て製品が何度も使える製品より資源効率がよいのか
 ■ブドウ栽培農家から水業者への転身する
 ■どれほど長く紙は我慢できるか(紙の耐久性について)
 ■持続可能な住まいとはどのようなものか
 ■車嫌いが一転して近代的カーシェアリング・システム経営へ
 ■薪ストーブのサウナで家全体がどのくらい暖まるか
 
 これらのアイデアの基礎にはすべて同じ発想がある。天然資源の投入が少なければ少ないほど、エコロジー的にすぐれた社会になるというものだ。個人、企業、団体、政府それぞれがこの挑戦を受けて立たなければならない。この場合、物事を全体として捉える、すなわち経済、環境、社会情勢の相互依存関係を常に視野に置くことが重要である。このことはまさに「持続可能な発展」の原則そのものである。
 先進工業国は、地球環境に対する自らの責任を自覚しなければならない。とくに南半球における気候変動、飢餓や貧困との戦い、健康で持続可能な生活空間や経済空間の創造といった将来の大きな課題を解決するには、すべての国が一致協力してこそ可能になる。
 本書は読者の興味を引きつけて離さないものであり、世界の大きな変化でも最初は一見ささいに見える事から始まったことを教えてくれる。このことを一度ならず思い起こしていただけることを願ってやまない。
 
ハンス・ミヒャエル・ヘルツ
持続可能な発展ベラジオ・フォーラム(BFSD))議長
ドイツ客員地球環境問題部門最高責任者
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