(別添 7)
ビデオテープレコーダーの目標基準値について

1.目標設定のための区分

1998年4月時点で主要メーカに対して行った調査結果から、以下の区分案とすることが適当と考えられる

(1)ユーザーの購入形態(選択肢)
家庭用ビデオテープレコーダーの商品化の推移を見てみると、モノラル音声からスタートし、その後の消費者ニーズに対応しHiFi音声ビデオテープレコーダーが開発され、さらに高画質ビデオテープレコーダー、BSチューナー内蔵ビデオテープレコーダーなどが次々と商品化されてきた。
こうした機能に着目したビデオテープレコーダーの商品区分としては、高画質と高画質以外、さらにBSチューナの有無が産業界のみならず消費者にも定着してきた。これらを定量的に見てみると94−97年で構成比の変化は殆ど見られない(図−1参照)。
・ユーザーの89%は高画質以外のビデオテープレコーダーを求め、11%は高画質ビデオテープレコーダーを求めている。
・ユーザー層は更に、BSチューナ付きを27%が求め、BSチューナ無しを73%が求めている。

図−1カテゴリー構成比(%)
(2)機能と動作時消費電力および待機時消費電力の関係
改正前の省エネ法においてビデオテープレコーダーは対象機器となっているが、その場合の区分は主要動作機能に従って分類してきている。これは主要動作機能によって決まる動作時消費電力と待機時消費電力とが密接な関係にあるためである。
以下にBSチューナ及び高画質の機能が待機時電力にどのように影響しているか検証を行った。

@待機時消費電力は製造事業者間で差が大きく、量的には同一に論じられないが、その構成は概略次のようになっている。

[電源部]+[時刻等の表示部]+[タイマー予約部]+[リモコン受信部]
+[BSチューナー追加に伴う付加機能部]+[高画質機能部]+[その他]

この中で特に「電源部」は、待機時消費電力の約半分を占めており影響は大きい。
電源の動作は交流(一次)を直流(二次)に変換するもので、待機時には二次側の大部分の電力供給は遮断されているものの、電源部内部で消費している損失電力が存在する。この損失電力は電源の大きさ(電源容量)と比例関係にあるため、動作時に供給する電力が大きいほど無効電力は大きくなる。
即ち、HiFiをベースとし、BSチューナー、高画質の各機能を追加した場合、専用回路の追加が必要となり、これは動作時消費電力の増加を招き、結果としてより大きな電源容量が必要となる。
また、「BSチューナー追加に伴う付加機能部」では、待機時にも動作するBSブースターやWデコーダー切換え器の追加による電力増加も加わる。
これを各社の平均データから具体的に見ると、1994年と1997年の待機時と動作時の消費電力は表−1のようになる。

表−1 1994年と1997年の動作時と待機時の平均消費電力(業界調査)
 1994年1997年
動作時電力待機時電力動作時電力待機時電力
HiFi20.4W6.2W17W4.4W
HiFi BS25.3W7.3W21W5.0W
HiFi(BS+高画質)31.9W8.5W28W5.8W

A表−1からは次のことがわかる。即ち、1997年のデータを見ると、動作時は機能に伴うカテゴリー順に17W、21W、28Wと増加し、待機時も4.4W、5.0W、5.8Wと増加しており、待機時と動作時の相関は明らかである。また、待機時消費電力量の総消費電力量に占める割合は約85%となっている。(参考 4)
こうしたことから、待機時消費電力をビデオテープレコーダーのエネルギー消費効率とすることとした。

(3)新区分について
新区分は表−2の区分とする。
新区分は @まず「高画質」と「高画質以外」に分け、Aさらにその各々についてBSチューナの有無によって区分する4区分とする。

表−2 新区分



BSチューナ付水平解像度400本以上の信号の処理能力を有するものであって衛星送受信機能を有するもの
その他水平解像度400本以上の信号の処理能力を有するものであって衛星放送受信機能を有しないもの





BSチューナ付ハイファイ用のもであって衛星放送受信機能を有するもの
その他ハイファイおよびモノラル用のものであって衛星放送受信機能を有しないもの

@上記区分は、(1)によりユーザの選択肢から判断して適当と考えられること。
A(2)から、高画質機能とBSチューナ機能の追加による待機時電力の関係が明確に区分できたこと。
Bモノラルタイプのビデオテープレコーダーは、需要漸減傾向に加え、コスト競争の厳しさから、HiFiタイプのビデオテープレコーダーとの差が不明確になっていることから、両者の機能差は捨象することとする。ビデオテープレコーダー市場におけるHiFiタイプの構成比は91年度が43%であり97年度には60%となっているが、モノラルは同20%から9%に低下している。
C上記新区分はダブルカセットビデオテープレコーダーと通常のビデオテープレコーダーと別々に適用する。


2.目標基準値の設定

(1)今後の技術開発について
更なる消費電力を削減するためには以下のような技術開発や技術改善を行う必要がある。
@時計等の非表示モードを持つ機種のさらなる拡大。
Aスイッチング周波数の適用制御や待機時の小電力供給に特化した待機時用補助電源への切換え等、損失の少ない電源方式の開発、採用。
Bその他低消費電力電子部品の開発、採用。
Cコストアップへの対応。

(2)目標基準値の設定
上記を踏まえ、目標基準値を設定した。

各区分におけるトップランナー
(単位:W)
 高画質BS付き高画質その他高画質以外BS付高画質以外その他
Pd on3.02.42.62.5
Pd off0.50.50.4
W2.52.02.22.5
各区分毎の待機時消費電力の実態
(「中間とりまとめ」本文のU.1.(3)による測定方法により測定した場合)

なお、目標年度までの将来の技術進化による改善が可能なものについては、極力改善を見込んだ目標とした。
特に、区分「高画質以外のその他」については、現状トップランナーのPd on が2.5W(この区分には非表示機能を持った製品は投入されていない)であるが、他の3区分の現状Pd onがそれぞれ3.0W、2.4W、2.6Wであることから将来の技術進歩による改善が見込めること、BSブースターに起因する電力増加要素が0.6Wであると見込まれることを勘案し、Pd on を2.0W、Pd offを0.4Wに設定して目標値を計算した。

   2.0W−(2.0W−0.4W)×0.2≒1.7W

3.目標年度における改善効果
2.の目標基準値を設定した場合の、1997年度実績値からの消費電力量の改善は、一定の仮定の基に試算すると、目標年度(2003年度)において、約59%の改善が推定される(参考 5)


Source:MITI / Copyright(C) 1996-1999 ECCJ [戻る]