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(別添3)
 
テレビジョン受信機の目標基準値について
 
 
1.目標設定のための区分
 
 区分の設定にあたっては以下の考え方に基づいて設定した。
 
 (1)走査方式及びブラウン管アスペクト比による区分
  1)エネルギー消費量(年間消費電力量)は、走査方式(現行標準方式をベースとした水平偏向周波数15.734kHzの通常走査方式のものと、33.750kHz   のハイビジョンや、31.468kHzのクリアビジョンやプログレッシブスキャン等の倍速走査のものに大別できる)の相違により大きく異なり、通常走査のものに比べて倍速走査のものでは偏向電力や走査変換のための電力が大幅に増加することから、通常走査のものと倍速走査のものとを区分することとした。
  2)通常走査のものについては、ブラウン管のアスペクト比(横縦比)が4:3タイプのものと、16:9ワイドタイプのものとでは、技術内容の相違からワイドタイプのものが電力量が大きくなる傾向にあることを考慮し、別区分に分類した。
  3)4:3タイプのものについては、ブラウン管の偏向角度で電力量が異なるため、偏向角度100度以下のものと、100度を超えるものとに区分することとした。
   しかしながら、16:9ワイドタイプについては、偏向角度による電力量の相違が顕著に現れていないことからあえて区分は行わないこととした。
  4)ハイビジョン以外の倍速走査のものについては、4:3タイプのものも僅かに(2モデル)存在しているが、16:9ワイドタイプが主流となっている。また、これらのタイプのものは比較的大型に集中していることもあり、16:9ワイドタイプと4:3タイプはあえて区分は行わないこととした。
 
 (2)機能による区分
  1)通常走査の4:3タイプについては、偏向角度100度以下及び100度超のものの各々について、基本モデル(モノラル、ステレオ音声、及びBS内蔵のもの)とVTR内蔵のものに区分した。
  2)16:9ワイドタイプについては、基本モデル(モノラル、ステレオ音声のもの及びBS内蔵のもの)、VTR内蔵、付加機能1機能(画面分割・文字多重・MNコンバータのいずれか1つの機能内蔵)、付加機能2機能(画面分割・文字多重・MNコンバータのいずれか2つの機能内蔵)、付加機能3機能(画面分割・文字多重・MNコンバータの3つの機能内蔵)の5区分とした。
   注)付加機能としては現状商品構成等を配慮し、「2チューナー2画面分割機能」「文字多重放送受信機能」「MUSE−NTSCコンバータ(MNコンバータ)」のみをとりあげることとし、他の機能(3次元YC分離、GCR、BSチューナーなど)は基本モデルを含むこれらの付加機能と組み合わせて商品化される場合が多く、将来の技術進歩(LSIの集積度の更なる向上等)に期待して捨象することとした。
  3)倍速走査のものについては、機能の相違(MUSEデコーダの有無など)等を考慮して、いわゆるハイビジョンとハイビジョン以外のものに区分した。
 
 
2.目標基準値の設定
 
 (1)目標値の設定
  目標値の設定にあたっては、以下の考え方をベースに区分毎の目標値算定式を設定した。
 
  1)目標達成年度までの将来の技術の進化による改善が確実に見込めるものについては、極力改善を見込んだ目標とする。
  2)目標値は区分毎に型サイズを変数とする関係式を用いて設定すること。
  3)目標値は区分間での矛盾がないこと。
 
 (2)今後の技術開発等の項目及び開発余地
 
  1)待機時電力:現状トップランナーの待機時電力は、大半の区分で0.5W前後にあり、更なる小電力化の余地は少ない。年間消費電力量の視点に立てば、これを仮にゼロとしても寄与率は僅かであるが、引き続き技術的限界まで削減に努力すること、及びこのレベルに到達していないモデルの底あげが当面の急務である。
 
  2)動作時電力:動作時の電力は信号系の処理に要する電力とブラウン管の動作に要する電力で構成され、概ね10〜20%が信号系、ブラウン管周辺で80〜70%、電源部の効率ロスが10%となっている。この10年、ブラウン管周辺で消費する電力の削減は大きな進歩はなく、動作時電力削減は、専ら信号系(ICの集積度向上による付加機能電力の削減など)に依存してきたが、全体に占める信号系の電力ウエイトの低下に伴い限界に近づきつつあり、トップランナーモデルにおける削減の余地は極めて限定されたものとなっている。
 
 (3)目標基準値の設定
  (1)の考え方を基に、(2)の技術開発の動向を踏まえて目標基準値を設定した(参考1)
 
 
 (4)電力消費量の推移予測
  今後のテレビジョン受信機の電力消費量を大きく左右する最大の要因は、2000年からスタートが予定されている、BSおよび地上デジタル放送の動向である。デジタル放送の受信デコーダを内蔵した場合、当初は大幅な消費電力の増加となる可能性が高いが、現時点では技術基準の検討中の段階であり、消費電力の予測または普及の予測ができる状況にない。デジタル放送以外では、この4〜5年の間に電力消費量に影響を与えると予測されるものとしてブラウン管のフラツト化の動向があり、今後増加要因となる可能性がある。
 
 
3.目標年度における改善効果
 
  2.の目標基準値を設定した場合の1996年度実績値からの消費電力量の改善は、ある仮定に基づく試算では、目標年度(2003年度)において、約17%の改善が図 られると試算される(参考2-1)。 
 
4.フラット型テレビの加算値の詳細及び加算値適用の基本的考え方(参考2-2
 
  フラット型テレビは従来型テレビと比べ、構造的理由等により高圧電力が必要であることやフォーカス改善が必要であり消費電力量が必然的に増加することから、加算値を用いることとしたが、加算値の詳細及び加算値適用の基本的考え方は以下のとおりとする。
 
 (1)加算値の詳細
 
  1)高圧電力の増加事例
   イ. ワイドテレビ
    従来型テレビ フラット型テレビ DC電力差 AC電力差 年間消費電力量概算
28型 29.3kV/1.5mA 29.8kV/1.8mA  9.6Wdc 14.4Wac      12kWh/年
32型 30.2kV/1.8mA 30.6kV/2.2mA 13.0Wdc 19.5Wac      16kWh/年
36型 29.3kV/2.2mA 30.3kV/2.5mA 11.3Wdc 16.9Wac      14kWh/年
 
   ロ. 4:3型テレビ
    従来型テレビ フラット型テレビ DC電力差 AC電力差 年間消費電力量概算
21型 24.7kV/1.1mA 26.5kV/1.5mA 12.5Wdc 18.8Wac 一部推定 15kWh/年
25型 26.6kV/1.3mA 27.0kV/1.7mA 11.3Wdc 17.0Wac 一部推定 14kWh/年
29型 28.5kV/1.4mA 29.5kV/1.9mA 16.2Wdc 24.3Wac      20kWh/年
34/33型 29.5kV/1.7mA 30.3kV/2.1mA 13.4Wdc 20.1Wac      17kWh/年
 
 
 
  2)フォーカス改善(ダイナミックフォーカス)による電力増加の事例
  従来型テレビ フラット型テレビ 電力増加 年間消費電力量概算
21型  DFなし  DFなし     -      -
25型
29型
34/33型
28型
32型
 DFなし
 DFなし
 DFなし
 DFなし
一部DFあり
 DFあり
 DFあり
 DFあり
 DFあり 
 DFあり

5〜8Wdc
(7.5〜12Wac

 

12〜20 kWh/年

 
12〜20kWh/年(一部)
36型  DFあり  DFあり     -      -
 
  3)その他の電力増加要因事例
   ・ 偏向歪み補正(3〜5 KWh/年相当)
   ・ 4:3型テレビにおいては、現行モデルでは一部(33型および29型の一部)にのみ採用の3次元YC分離回路や速度変調回路などにより画質の補正を図っている。(5〜10kWh/年相当)
 
  4)総増加量
   ・ 4:3型テレビ 100度以下(21型)       18〜20kWh/年
             100度超(25.29.34/35型)    34〜55kWh/年
   ・ ワイド型テレビ     (28.32.36型)     17〜41kWh/年
 
  5)4)により加算値を10又は25kWh/年とした理由
    1)の高圧電力の増加事例、2)のフォーカス改善による電力増加事例、3)の偏向歪み補正や画質補正に係る電力増加事例から、フラット型テレビの電力消費は従来型テレビに比べ上記のように17kWh/年〜55kWh/年の増加となっている。これらの値を前提として加算値を設定する必要があるが、他方前述のとおりフラット型テレビの登場が比較的最近であり、技術開発による将来のエネルギー消費効率の改善が期待できること、省エネルギーの視点から技術開発による可能な限りの省電力化が望まれる等の理由から、加算値を次のとおりとした。
4:3型テレビ
         
 100度以下(21型)        10kWh/年
 100度超(25.29.34/35型)     25kWh/年
ワイド型テレビ  (28.32.36型)         10kWh/年

    なお、4:3型テレビ(100度超)の加算値については、事例による総増加量のそれぞれの最少値及び最大値を比較勘案して25kWh/年とした。
 
 (2)加算値適用の基本的考え方
   加算値は最終小委員会までには確定するものとし、加算値の適用の基本的考え方は次のとおりとする。
  1)同一区分内における従来型テレビとフラット型テレビの目標算定式の傾きは同一とする。
  2)4:3型テレビ(100度以下)及びワイド型テレビについて、同一区分内におけるフラット型テレビのみのトップランナーによる目標算定式で得られる関係式と従来型テレビのみのトップランナーによる目標算定式により得られる関係式の切片の差が10以上の場合は、フラット型テレビの目標算定式は従来型テレビを基本に設定することとし、この目標算定式の切片に10を加えることとする。
  3)4:3型テレビ(100度超)の同一区分内におけるフラット型テレビのみのトップランナーによる目標算定式で得られる関係式と従来型テレビのみのトップランナーによる目標算定式により得られる関係式の切片の差が25以上の場合は、フラット型テレビの目標算定式は従来型テレビの目標算定式を基本に設定することとし、この切片に25を加えることとする。
  4)2)について、切片の差が10未満の場合の従来型テレビの目標算定式は、フラット型テレビのみのトップランナーによる目標算定式を基本に設定することとし、これから切片について10を減じた算定式とする。
  5)3)について、切片の差が25未満の場合の従来型テレビの目標算定式は、フラット型テレビのみのトップランナーによる目標算定式を基本に設定することとし、これから切片について25を減じた算定式とする。

  6)上記目標算定式は全体の関係に齟齬が生じないように調整することとする。

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