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別添資料3

目標基準値設定の考え方

1.区分の考え方

(1) 区分の基本指標
車両重量を基本指標として等価慣性重量を踏まえた区分を設定する。

1) 自動車に対する消費者ニーズは多様であるが、ボディサイズ、機能等車両重量(注)に影響を及ぼすものも相当程度存在する。また、燃費は車両重量と強い相関がある。
自動車メーカーは自動車開発に際し、国の定める排出ガス試験法に基づき、当該自動車の等価慣性重量を用いシャシダイナモにより排出ガスの評価を実施している。
一方、燃費と排出ガスとは、採用技術によってはトレードオフの関係となり得ることから、燃費についても等価慣性重量を踏まえた区分を設定することにより、同時に評価できることが必要である。

(注)車両重量:道路運送車両の保安基準第1条第1項第3号の規定による空車状態の自動車の重量をいう。

2) また、道路運送車両法に基づく型式指定の審査の際に実施しなければならない排出ガス測定方法と共通な区分を採用することによって、測定等に係る事業者の負担軽減が図られるため、等価慣性重量を踏まえた区分を設定することが適切である。

<車両重量、試験自動車重量と等価慣性重量>

   車両重量(kg)

試験自動車重量(kg)

等価慣性重量(kg)

   578〜 702
   703〜 827
   828〜1015
   1016〜1265
   1266〜1515
   1516〜1765
   1766〜2015
   2016〜2265
   2266〜2515
 

   688〜 812
   813〜 937
   938〜1125
   1126〜1375
   1376〜1625
   1626〜1875
   1876〜2125
   2126〜2375
   2376〜2625
 

     750
     875
    1000
    1250
    1500
    1750
    2000
    2250
    2500
 
(注)試験自動車重量=車両重量+110kg
(2) 区分設定の具体的内容
1) 乗用自動車については、等価慣性重量を踏まえて区分する。
2) 貨物自動車については、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分した後、等価慣性重量を踏まえて区分する。
3) 乗用自動車については、自動変速機付自動車(AT車)と手動変速機付自動車(MT車)を区分しないが、目標基準値を設定する際には、AT車をベースに考え、MT車は導入比率により考慮する。
4) 貨物自動車については、AT車とMT車を別区分とするとともに、貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車とを別区分とする。

1) 乗用自動車の取り扱いについて
  • 現行の排出ガス規制の測定区分は、等価慣性重量がベースとなっている。
  • 省エネを最大限進める観点からは、区分の範囲は可能な限り広範囲に高効率な数値を設定することが望ましいところであるが、現行の排出ガス規制の測定区分よりも広い区分とすることは、同一区分内で商品特性(車両サイズ等)の異なる重い自動車に不必要な負担を課すこととなる。一方、区分を細分化すると軽量化インセンティブが損なわれるおそれがあり、現行の排出ガス規制の測定区分毎の刻みであれば、軽量化のインセンティブを損なうことなく、同一区分の中で重い自動車への負担の適正化を図ることが可能である。

2) 貨物自動車の取り扱いについて
貨物自動車は、その使われ方の違い等により、排出ガス規制上、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分されている。燃費についても、同様の理由で、軽自動車、軽量及び中量自動車間での同一車両重量燃費レベルが異なることから、この排出ガス規制の区分と整合的に考えていくことが適切である。

3) 乗用自動車のAT化について
女性ドライバーの増加、高齢化、AT限定免許の導入等の影響から、今後ともAT車の比率は増加し、目標年次の頃には、MT車の台数は数%程度になるものと予測され、MT車を独立した区分としても、サンプル数が少なく適切な目標を設定できない場合も起こりうる。したがって、AT車をベースに目標基準値を考えていくこととし、MT車は目標年次における導入比率を考慮の上、目標基準値の向上要因として考慮するものとする。
<ガソリン乗用車及びディーゼル乗用車のAT比率の見通し>

(資料:(社)日本自動車工業会のデータを基に推定)

4) 貨物自動車について
(a) MT車が今後とも相当程度のシェアを占めるものと予測されることから、乗用自動車と同様の方法を採用することは困難であるため、AT車とMT車を別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。
(b) 貨物運搬を主目的として設計・製造された自動車は、トルクを重視したり、荷物の搭載等を考慮して車体強度確保のため車体重量が重くなる傾向にある。これら貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車を同一に扱うことは不適当であるため、別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。

2.目標基準値設定にあたり特殊品として除外した自動車

目標基準値を策定するにあたって最新の燃費値(1997年度に生産された自動車)をベースとするが、多様な消費者のニーズ等に応えるために生産されている車種で、これを目標基準値策定に採用することは、広く用いられている技術を用いた製品が存在し得なくなり、極度に市場をゆがめ、他の技術の改善・革新を阻害するおそれが高いものについては、現時点においては特殊品として除外する。

(1) 特殊な車種設定のモデルで97年度の出荷台数が極めて少量であり現在生産されていないもの
  1)ガソリン乗用自動車 車両重量 702kg以下の区分のスズキアルトのうちの一部
(97年度の出荷台数:1台)
  2)ガソリン軽貨物自動車 車両重量 702kg以下の区分の乗用車派生のスバルヴィヴィオのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:16台)
    車両重量 703kg〜 827kgの区分その他のスバルサンバーのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:23台)
     
(2) 特殊な技術を用いたもの
  ガソリン乗用自動車 トヨタプリウス
     
(3) 乗用自動車のMT車(1頁参照)
 
 
 
 
3.目標基準値設定の基本的考え方

1) 目標値設定にあたっては、区分毎に最も燃費の良い車に着目し、技術改善等による燃費向上、排出ガス規制強化等による燃費に与える影響を勘案する。
2) また、ガソ.リン乗用自動車については、筒内直接噴射方式及びリーンバーン方式のエンジン(以下「直噴等エンジン」という。)搭載車について、今後段階的に強化される排出ガス規制に対応する触媒技術が確立されていないことから、技術的対応可能性を勘案する。

(1)−1 燃費向上要因
考慮した主な燃費向上技術(向上率)は次の通りである。なお、これらの技術は全ての区分の車種にただちに適用できるものではない。
  【ガソリンエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、可変バルブタイミング(0〜2%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、高圧縮比(0〜1%未満)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%超))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(2〜3%)、その他駆動損失低減)
     
  【ディーゼルエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、高圧噴射化(0〜1%)、コモンレール(2〜3%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、過給器(1〜2%)、インタークーラ(0〜1%)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(0〜1%)、その他駆動損失低減)
     
  【走行抵抗改善】
     
    − 車両重量低減
    (ボディ軽量材料の採用(0〜1%)、シャシ軽量駆動構造の採用(0〜1%)等)
     
    − 空気抵抗低減(0〜1%)
     
    − 低ころがり抵抗タイヤ(0〜1%)
     
  【駆動系損失の低減、エンジンの使用域最適化】
     
    − ATロックアップ領域拡大(1〜2%)、AT電子制御化(0〜1%)
   
自動無段変速機(CVT)の採用(5〜10%) 等

なお、目標基準値設定に際し除外したものについては、将来の投入の可能性を考慮の上、燃費向上要因として考えた。

 
(1)−2 燃費影響要因
1)排出ガス規制への対応
○ ガソリン自動車のうち直噴等エンジン搭載車及びディーゼル自動車については、NOxの低減を図るためのリーンNOx触媒の採用、EGR(排気再循環)、噴射時期遅角等を行うことに伴う燃費に及ぼす影響を考慮する。なお、悪化分の数値には、同時に行われる燃焼改善、触媒の開発による技術改善等の向上要因を勘案している。

○ ガソリン自動車のうち従来型エンジン搭載車については、従来からの三元触媒を用いることとなるため、リーンNOx触媒の採用に伴う燃費悪化分は考慮しない。

2)安全規制等への対応
○ 安全規制への対応のための車両構造の変更(正面衝突安全対応、側面衝突安全対応)、エアバッグの採用、アンチロックブレーキシステム(ABS)の採用等による重量増に伴う燃費への影響を考慮する。

○ 軽自動車については、新規格対応による重量増に伴う燃費への影響も併せて考慮する。

3) 騒音規制への対応
重量増を考慮するとともに、消音対策として行うマフラー容積増大、サブマフラーの付加に伴う排気抵抗の増加等エンジンの出力低下による燃費への影響を考慮する。

上記1)から3)を具体的に整理すると、以下のとおりである。

車 種
事 項
ガソリン自動車 ディーゼル自動車
直噴等エンジン搭載車 従来型エンジン搭載車
排ガス規制対応 −6%程度 −3%程度 −5%程度
安全規制等対応 −0.5%程度 −0.5%程度
軽は−2.0%程
−0.5%程度
騒音規制対応 −0.1%程度 −0.1%程度 −0.2%程度
合 計 −6.6%程度 −3.6%程度
軽は−5.1%程
−5.7%程度
(2) 直噴等エンジン搭載車の取り扱い
○ 乗用自動車について、直噴等エンジン搭載車は、わずか6%(97年度出荷ベース)程度しか投入されていないものの、燃費向上の観点からは有効な技術である。

○ しかしながら、
− 直噴等エンジンは、従来型エンジンよりも薄い混合気で燃焼させるため、排出ガス規制が更に強化された場合には、理論空燃比領域を主体とした現在の三元触媒での対応に限界がある。このため、排出ガス規制の強化に対応するためには、直噴等エンジンに適した触媒(リーンNOx触媒等)の開発が不可欠であるが、これらの触媒技術への対応は現時点で確実と言える状況にはなく、この観点からは、解決すべき課題が多く存在している。
− また、直噴等エンジンは、小排気量の車及び積載、加速度等負荷条件の大きい用途に用いる車両にあっては、成層燃焼領域の使用頻度が減少することから燃費改善効果は減少する。
という問題がある。

○ また、直噴等エンジンは燃費面で効果が大きい技術なので、直噴等エンジン搭載車を単純にトップランナーとした場合、100%投入しないと達成できないような目標設定をすることとなる。しかしながら、直噴等エンジンは、上記のような問題があることから、こうした目標値を設定した場合、1)従来型エンジンの開発を阻害するおそれがあり、また、2)従来型エンジンの生産ラインが解消されることとなるため、迅速に代替する生産体制を構築することが困難となり、生産に大きな支障を来し大きな経済損失が発生するおそれがある。

○ 従って、全ての車に直噴等エンジンを搭載することを前提にした燃費基準を策定するよりも、直噴等エンジンと従来型エンジンの両方の存在を前提としつつ、それぞれの方式について燃費向上を進めていくことが必要である。

○ このような考え方に基づき、直噴等エンジン搭載車が最も燃費の良い車となっている区分の目標基準値設定に当たっては、直噴等エンジン搭載車と従来型エンジン搭載車を対等(直噴等エンジン搭載車:従来型エンジン搭載車=50:50)に取り扱い、それぞれの最大限の技術改善と燃費向上が期待できるよう目標基準値を設定することとする。

(3) 上記の「目標基準値」を設定し、1995年度と同じ出荷台数比率と仮定した場合の、1995年度実績値からの消費効率の向上率は、以下のとおりである。

<ガソリン自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2010年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 12.3 15.1 22.8
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 14.4 16.3 13.2
全 体 12.6 15.3 21.4

<ディーゼル自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2005年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 10.1 11.6 14.9
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 13.8 14.7 6.5
全 体 10.7 12.1 13.1

(参考)

<地球温暖化対策推進大綱(平成10年6月19日:地球温暖化対策推進本部決定)抜粋>

「省エネルギー基準等の強化」

1) 自動車の燃費基準の強化
改正省エネルギー法に基づき、1999年4月に予定されている改正省エネルギー法の施行に併せて、自動車の燃費基準をトップランナー方式の考え方に基づき強化し、燃費について2010年度までに1995年度比15%乃至20%超の向上を目指す。

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目標基準値設定の考え方

別添資料3

目標基準値設定の考え方

1.区分の考え方

(1) 区分の基本指標
車両重量を基本指標として等価慣性重量を踏まえた区分を設定する。

1) 自動車に対する消費者ニーズは多様であるが、ボディサイズ、機能等車両重量(注)に影響を及ぼすものも相当程度存在する。また、燃費は車両重量と強い相関がある。
自動車メーカーは自動車開発に際し、国の定める排出ガス試験法に基づき、当該自動車の等価慣性重量を用いシャシダイナモにより排出ガスの評価を実施している。
一方、燃費と排出ガスとは、採用技術によってはトレードオフの関係となり得ることから、燃費についても等価慣性重量を踏まえた区分を設定することにより、同時に評価できることが必要である。

(注)車両重量:道路運送車両の保安基準第1条第1項第3号の規定による空車状態の自動車の重量をいう。

2) また、道路運送車両法に基づく型式指定の審査の際に実施しなければならない排出ガス測定方法と共通な区分を採用することによって、測定等に係る事業者の負担軽減が図られるため、等価慣性重量を踏まえた区分を設定することが適切である。

<車両重量、試験自動車重量と等価慣性重量>

   車両重量(kg)

試験自動車重量(kg)

等価慣性重量(kg)

   578〜 702
   703〜 827
   828〜1015
   1016〜1265
   1266〜1515
   1516〜1765
   1766〜2015
   2016〜2265
   2266〜2515
 

   688〜 812
   813〜 937
   938〜1125
   1126〜1375
   1376〜1625
   1626〜1875
   1876〜2125
   2126〜2375
   2376〜2625
 

     750
     875
    1000
    1250
    1500
    1750
    2000
    2250
    2500
 
(注)試験自動車重量=車両重量+110kg
(2) 区分設定の具体的内容
1) 乗用自動車については、等価慣性重量を踏まえて区分する。
2) 貨物自動車については、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分した後、等価慣性重量を踏まえて区分する。
3) 乗用自動車については、自動変速機付自動車(AT車)と手動変速機付自動車(MT車)を区分しないが、目標基準値を設定する際には、AT車をベースに考え、MT車は導入比率により考慮する。
4) 貨物自動車については、AT車とMT車を別区分とするとともに、貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車とを別区分とする。

1) 乗用自動車の取り扱いについて
  • 現行の排出ガス規制の測定区分は、等価慣性重量がベースとなっている。
  • 省エネを最大限進める観点からは、区分の範囲は可能な限り広範囲に高効率な数値を設定することが望ましいところであるが、現行の排出ガス規制の測定区分よりも広い区分とすることは、同一区分内で商品特性(車両サイズ等)の異なる重い自動車に不必要な負担を課すこととなる。一方、区分を細分化すると軽量化インセンティブが損なわれるおそれがあり、現行の排出ガス規制の測定区分毎の刻みであれば、軽量化のインセンティブを損なうことなく、同一区分の中で重い自動車への負担の適正化を図ることが可能である。

2) 貨物自動車の取り扱いについて
貨物自動車は、その使われ方の違い等により、排出ガス規制上、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分されている。燃費についても、同様の理由で、軽自動車、軽量及び中量自動車間での同一車両重量燃費レベルが異なることから、この排出ガス規制の区分と整合的に考えていくことが適切である。

3) 乗用自動車のAT化について
女性ドライバーの増加、高齢化、AT限定免許の導入等の影響から、今後ともAT車の比率は増加し、目標年次の頃には、MT車の台数は数%程度になるものと予測され、MT車を独立した区分としても、サンプル数が少なく適切な目標を設定できない場合も起こりうる。したがって、AT車をベースに目標基準値を考えていくこととし、MT車は目標年次における導入比率を考慮の上、目標基準値の向上要因として考慮するものとする。
<ガソリン乗用車及びディーゼル乗用車のAT比率の見通し>

(資料:(社)日本自動車工業会のデータを基に推定)

4) 貨物自動車について
(a) MT車が今後とも相当程度のシェアを占めるものと予測されることから、乗用自動車と同様の方法を採用することは困難であるため、AT車とMT車を別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。
(b) 貨物運搬を主目的として設計・製造された自動車は、トルクを重視したり、荷物の搭載等を考慮して車体強度確保のため車体重量が重くなる傾向にある。これら貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車を同一に扱うことは不適当であるため、別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。

2.目標基準値設定にあたり特殊品として除外した自動車

目標基準値を策定するにあたって最新の燃費値(1997年度に生産された自動車)をベースとするが、多様な消費者のニーズ等に応えるために生産されている車種で、これを目標基準値策定に採用することは、広く用いられている技術を用いた製品が存在し得なくなり、極度に市場をゆがめ、他の技術の改善・革新を阻害するおそれが高いものについては、現時点においては特殊品として除外する。

(1) 特殊な車種設定のモデルで97年度の出荷台数が極めて少量であり現在生産されていないもの
  1)ガソリン乗用自動車 車両重量 702kg以下の区分のスズキアルトのうちの一部
(97年度の出荷台数:1台)
  2)ガソリン軽貨物自動車 車両重量 702kg以下の区分の乗用車派生のスバルヴィヴィオのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:16台)
    車両重量 703kg〜 827kgの区分その他のスバルサンバーのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:23台)
     
(2) 特殊な技術を用いたもの
  ガソリン乗用自動車 トヨタプリウス
     
(3) 乗用自動車のMT車(1頁参照)
 
 
 
 
3.目標基準値設定の基本的考え方

1) 目標値設定にあたっては、区分毎に最も燃費の良い車に着目し、技術改善等による燃費向上、排出ガス規制強化等による燃費に与える影響を勘案する。
2) また、ガソ.リン乗用自動車については、筒内直接噴射方式及びリーンバーン方式のエンジン(以下「直噴等エンジン」という。)搭載車について、今後段階的に強化される排出ガス規制に対応する触媒技術が確立されていないことから、技術的対応可能性を勘案する。

(1)−1 燃費向上要因
考慮した主な燃費向上技術(向上率)は次の通りである。なお、これらの技術は全ての区分の車種にただちに適用できるものではない。
  【ガソリンエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、可変バルブタイミング(0〜2%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、高圧縮比(0〜1%未満)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%超))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(2〜3%)、その他駆動損失低減)
     
  【ディーゼルエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、高圧噴射化(0〜1%)、コモンレール(2〜3%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、過給器(1〜2%)、インタークーラ(0〜1%)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(0〜1%)、その他駆動損失低減)
     
  【走行抵抗改善】
     
    − 車両重量低減
    (ボディ軽量材料の採用(0〜1%)、シャシ軽量駆動構造の採用(0〜1%)等)
     
    − 空気抵抗低減(0〜1%)
     
    − 低ころがり抵抗タイヤ(0〜1%)
     
  【駆動系損失の低減、エンジンの使用域最適化】
     
    − ATロックアップ領域拡大(1〜2%)、AT電子制御化(0〜1%)
   
自動無段変速機(CVT)の採用(5〜10%) 等

なお、目標基準値設定に際し除外したものについては、将来の投入の可能性を考慮の上、燃費向上要因として考えた。

 
(1)−2 燃費影響要因
1)排出ガス規制への対応
○ ガソリン自動車のうち直噴等エンジン搭載車及びディーゼル自動車については、NOxの低減を図るためのリーンNOx触媒の採用、EGR(排気再循環)、噴射時期遅角等を行うことに伴う燃費に及ぼす影響を考慮する。なお、悪化分の数値には、同時に行われる燃焼改善、触媒の開発による技術改善等の向上要因を勘案している。

○ ガソリン自動車のうち従来型エンジン搭載車については、従来からの三元触媒を用いることとなるため、リーンNOx触媒の採用に伴う燃費悪化分は考慮しない。

2)安全規制等への対応
○ 安全規制への対応のための車両構造の変更(正面衝突安全対応、側面衝突安全対応)、エアバッグの採用、アンチロックブレーキシステム(ABS)の採用等による重量増に伴う燃費への影響を考慮する。

○ 軽自動車については、新規格対応による重量増に伴う燃費への影響も併せて考慮する。

3) 騒音規制への対応
重量増を考慮するとともに、消音対策として行うマフラー容積増大、サブマフラーの付加に伴う排気抵抗の増加等エンジンの出力低下による燃費への影響を考慮する。

上記1)から3)を具体的に整理すると、以下のとおりである。

車 種
事 項
ガソリン自動車 ディーゼル自動車
直噴等エンジン搭載車 従来型エンジン搭載車
排ガス規制対応 −6%程度 −3%程度 −5%程度
安全規制等対応 −0.5%程度 −0.5%程度
軽は−2.0%程
−0.5%程度
騒音規制対応 −0.1%程度 −0.1%程度 −0.2%程度
合 計 −6.6%程度 −3.6%程度
軽は−5.1%程
−5.7%程度
(2) 直噴等エンジン搭載車の取り扱い
○ 乗用自動車について、直噴等エンジン搭載車は、わずか6%(97年度出荷ベース)程度しか投入されていないものの、燃費向上の観点からは有効な技術である。

○ しかしながら、
− 直噴等エンジンは、従来型エンジンよりも薄い混合気で燃焼させるため、排出ガス規制が更に強化された場合には、理論空燃比領域を主体とした現在の三元触媒での対応に限界がある。このため、排出ガス規制の強化に対応するためには、直噴等エンジンに適した触媒(リーンNOx触媒等)の開発が不可欠であるが、これらの触媒技術への対応は現時点で確実と言える状況にはなく、この観点からは、解決すべき課題が多く存在している。
− また、直噴等エンジンは、小排気量の車及び積載、加速度等負荷条件の大きい用途に用いる車両にあっては、成層燃焼領域の使用頻度が減少することから燃費改善効果は減少する。
という問題がある。

○ また、直噴等エンジンは燃費面で効果が大きい技術なので、直噴等エンジン搭載車を単純にトップランナーとした場合、100%投入しないと達成できないような目標設定をすることとなる。しかしながら、直噴等エンジンは、上記のような問題があることから、こうした目標値を設定した場合、1)従来型エンジンの開発を阻害するおそれがあり、また、2)従来型エンジンの生産ラインが解消されることとなるため、迅速に代替する生産体制を構築することが困難となり、生産に大きな支障を来し大きな経済損失が発生するおそれがある。

○ 従って、全ての車に直噴等エンジンを搭載することを前提にした燃費基準を策定するよりも、直噴等エンジンと従来型エンジンの両方の存在を前提としつつ、それぞれの方式について燃費向上を進めていくことが必要である。

○ このような考え方に基づき、直噴等エンジン搭載車が最も燃費の良い車となっている区分の目標基準値設定に当たっては、直噴等エンジン搭載車と従来型エンジン搭載車を対等(直噴等エンジン搭載車:従来型エンジン搭載車=50:50)に取り扱い、それぞれの最大限の技術改善と燃費向上が期待できるよう目標基準値を設定することとする。

(3) 上記の「目標基準値」を設定し、1995年度と同じ出荷台数比率と仮定した場合の、1995年度実績値からの消費効率の向上率は、以下のとおりである。

<ガソリン自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2010年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 12.3 15.1 22.8
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 14.4 16.3 13.2
全 体 12.6 15.3 21.4

<ディーゼル自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2005年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 10.1 11.6 14.9
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 13.8 14.7 6.5
全 体 10.7 12.1 13.1

(参考)

<地球温暖化対策推進大綱(平成10年6月19日:地球温暖化対策推進本部決定)抜粋>

「省エネルギー基準等の強化」

1) 自動車の燃費基準の強化
改正省エネルギー法に基づき、1999年4月に予定されている改正省エネルギー法の施行に併せて、自動車の燃費基準をトップランナー方式の考え方に基づき強化し、燃費について2010年度までに1995年度比15%乃至20%超の向上を目指す。

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目標基準値設定の考え方

別添資料3

目標基準値設定の考え方

1.区分の考え方

(1) 区分の基本指標
車両重量を基本指標として等価慣性重量を踏まえた区分を設定する。

1) 自動車に対する消費者ニーズは多様であるが、ボディサイズ、機能等車両重量(注)に影響を及ぼすものも相当程度存在する。また、燃費は車両重量と強い相関がある。
自動車メーカーは自動車開発に際し、国の定める排出ガス試験法に基づき、当該自動車の等価慣性重量を用いシャシダイナモにより排出ガスの評価を実施している。
一方、燃費と排出ガスとは、採用技術によってはトレードオフの関係となり得ることから、燃費についても等価慣性重量を踏まえた区分を設定することにより、同時に評価できることが必要である。

(注)車両重量:道路運送車両の保安基準第1条第1項第3号の規定による空車状態の自動車の重量をいう。

2) また、道路運送車両法に基づく型式指定の審査の際に実施しなければならない排出ガス測定方法と共通な区分を採用することによって、測定等に係る事業者の負担軽減が図られるため、等価慣性重量を踏まえた区分を設定することが適切である。

<車両重量、試験自動車重量と等価慣性重量>

   車両重量(kg)

試験自動車重量(kg)

等価慣性重量(kg)

   578〜 702
   703〜 827
   828〜1015
   1016〜1265
   1266〜1515
   1516〜1765
   1766〜2015
   2016〜2265
   2266〜2515
 

   688〜 812
   813〜 937
   938〜1125
   1126〜1375
   1376〜1625
   1626〜1875
   1876〜2125
   2126〜2375
   2376〜2625
 

     750
     875
    1000
    1250
    1500
    1750
    2000
    2250
    2500
 
(注)試験自動車重量=車両重量+110kg
(2) 区分設定の具体的内容
1) 乗用自動車については、等価慣性重量を踏まえて区分する。
2) 貨物自動車については、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分した後、等価慣性重量を踏まえて区分する。
3) 乗用自動車については、自動変速機付自動車(AT車)と手動変速機付自動車(MT車)を区分しないが、目標基準値を設定する際には、AT車をベースに考え、MT車は導入比率により考慮する。
4) 貨物自動車については、AT車とMT車を別区分とするとともに、貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車とを別区分とする。

1) 乗用自動車の取り扱いについて
  • 現行の排出ガス規制の測定区分は、等価慣性重量がベースとなっている。
  • 省エネを最大限進める観点からは、区分の範囲は可能な限り広範囲に高効率な数値を設定することが望ましいところであるが、現行の排出ガス規制の測定区分よりも広い区分とすることは、同一区分内で商品特性(車両サイズ等)の異なる重い自動車に不必要な負担を課すこととなる。一方、区分を細分化すると軽量化インセンティブが損なわれるおそれがあり、現行の排出ガス規制の測定区分毎の刻みであれば、軽量化のインセンティブを損なうことなく、同一区分の中で重い自動車への負担の適正化を図ることが可能である。

2) 貨物自動車の取り扱いについて
貨物自動車は、その使われ方の違い等により、排出ガス規制上、軽自動車、軽量及び中量自動車に区分されている。燃費についても、同様の理由で、軽自動車、軽量及び中量自動車間での同一車両重量燃費レベルが異なることから、この排出ガス規制の区分と整合的に考えていくことが適切である。

3) 乗用自動車のAT化について
女性ドライバーの増加、高齢化、AT限定免許の導入等の影響から、今後ともAT車の比率は増加し、目標年次の頃には、MT車の台数は数%程度になるものと予測され、MT車を独立した区分としても、サンプル数が少なく適切な目標を設定できない場合も起こりうる。したがって、AT車をベースに目標基準値を考えていくこととし、MT車は目標年次における導入比率を考慮の上、目標基準値の向上要因として考慮するものとする。
<ガソリン乗用車及びディーゼル乗用車のAT比率の見通し>

(資料:(社)日本自動車工業会のデータを基に推定)

4) 貨物自動車について
(a) MT車が今後とも相当程度のシェアを占めるものと予測されることから、乗用自動車と同様の方法を採用することは困難であるため、AT車とMT車を別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。
(b) 貨物運搬を主目的として設計・製造された自動車は、トルクを重視したり、荷物の搭載等を考慮して車体強度確保のため車体重量が重くなる傾向にある。これら貨物運搬を主目的とした自動車と乗用自動車派生の貨物自動車を同一に扱うことは不適当であるため、別区分とし、それぞれ目標基準値を定めていくことが適切である。

2.目標基準値設定にあたり特殊品として除外した自動車

目標基準値を策定するにあたって最新の燃費値(1997年度に生産された自動車)をベースとするが、多様な消費者のニーズ等に応えるために生産されている車種で、これを目標基準値策定に採用することは、広く用いられている技術を用いた製品が存在し得なくなり、極度に市場をゆがめ、他の技術の改善・革新を阻害するおそれが高いものについては、現時点においては特殊品として除外する。

(1) 特殊な車種設定のモデルで97年度の出荷台数が極めて少量であり現在生産されていないもの
  1)ガソリン乗用自動車 車両重量 702kg以下の区分のスズキアルトのうちの一部
(97年度の出荷台数:1台)
  2)ガソリン軽貨物自動車 車両重量 702kg以下の区分の乗用車派生のスバルヴィヴィオのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:16台)
    車両重量 703kg〜 827kgの区分その他のスバルサンバーのうちAT車の一部(97年度の出荷台数:23台)
     
(2) 特殊な技術を用いたもの
  ガソリン乗用自動車 トヨタプリウス
     
(3) 乗用自動車のMT車(1頁参照)
 
 
 
 
3.目標基準値設定の基本的考え方

1) 目標値設定にあたっては、区分毎に最も燃費の良い車に着目し、技術改善等による燃費向上、排出ガス規制強化等による燃費に与える影響を勘案する。
2) また、ガソ.リン乗用自動車については、筒内直接噴射方式及びリーンバーン方式のエンジン(以下「直噴等エンジン」という。)搭載車について、今後段階的に強化される排出ガス規制に対応する触媒技術が確立されていないことから、技術的対応可能性を勘案する。

(1)−1 燃費向上要因
考慮した主な燃費向上技術(向上率)は次の通りである。なお、これらの技術は全ての区分の車種にただちに適用できるものではない。
  【ガソリンエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、可変バルブタイミング(0〜2%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、高圧縮比(0〜1%未満)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%超))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(2〜3%)、その他駆動損失低減)
     
  【ディーゼルエンジンの改良】
     
    − 熱効率の改善
    (4バルブ化(0〜1%)、高圧噴射化(0〜1%)、コモンレール(2〜3%)、電子制御燃料噴射装置(1〜2%)、過給器(1〜2%)、インタークーラ(0〜1%)、燃焼室改良(0〜1%)、直噴化等(5%))
     
    − 損失低減
    (OHC化(0〜1%)、フリクション低減(0〜1%)、アイドル回転数低下(0〜 1%)、電動式パワステの採用(0〜1%)、その他駆動損失低減)
     
  【走行抵抗改善】
     
    − 車両重量低減
    (ボディ軽量材料の採用(0〜1%)、シャシ軽量駆動構造の採用(0〜1%)等)
     
    − 空気抵抗低減(0〜1%)
     
    − 低ころがり抵抗タイヤ(0〜1%)
     
  【駆動系損失の低減、エンジンの使用域最適化】
     
    − ATロックアップ領域拡大(1〜2%)、AT電子制御化(0〜1%)
   
自動無段変速機(CVT)の採用(5〜10%) 等

なお、目標基準値設定に際し除外したものについては、将来の投入の可能性を考慮の上、燃費向上要因として考えた。

 
(1)−2 燃費影響要因
1)排出ガス規制への対応
○ ガソリン自動車のうち直噴等エンジン搭載車及びディーゼル自動車については、NOxの低減を図るためのリーンNOx触媒の採用、EGR(排気再循環)、噴射時期遅角等を行うことに伴う燃費に及ぼす影響を考慮する。なお、悪化分の数値には、同時に行われる燃焼改善、触媒の開発による技術改善等の向上要因を勘案している。

○ ガソリン自動車のうち従来型エンジン搭載車については、従来からの三元触媒を用いることとなるため、リーンNOx触媒の採用に伴う燃費悪化分は考慮しない。

2)安全規制等への対応
○ 安全規制への対応のための車両構造の変更(正面衝突安全対応、側面衝突安全対応)、エアバッグの採用、アンチロックブレーキシステム(ABS)の採用等による重量増に伴う燃費への影響を考慮する。

○ 軽自動車については、新規格対応による重量増に伴う燃費への影響も併せて考慮する。

3) 騒音規制への対応
重量増を考慮するとともに、消音対策として行うマフラー容積増大、サブマフラーの付加に伴う排気抵抗の増加等エンジンの出力低下による燃費への影響を考慮する。

上記1)から3)を具体的に整理すると、以下のとおりである。

車 種
事 項
ガソリン自動車 ディーゼル自動車
直噴等エンジン搭載車 従来型エンジン搭載車
排ガス規制対応 −6%程度 −3%程度 −5%程度
安全規制等対応 −0.5%程度 −0.5%程度
軽は−2.0%程
−0.5%程度
騒音規制対応 −0.1%程度 −0.1%程度 −0.2%程度
合 計 −6.6%程度 −3.6%程度
軽は−5.1%程
−5.7%程度
(2) 直噴等エンジン搭載車の取り扱い
○ 乗用自動車について、直噴等エンジン搭載車は、わずか6%(97年度出荷ベース)程度しか投入されていないものの、燃費向上の観点からは有効な技術である。

○ しかしながら、
− 直噴等エンジンは、従来型エンジンよりも薄い混合気で燃焼させるため、排出ガス規制が更に強化された場合には、理論空燃比領域を主体とした現在の三元触媒での対応に限界がある。このため、排出ガス規制の強化に対応するためには、直噴等エンジンに適した触媒(リーンNOx触媒等)の開発が不可欠であるが、これらの触媒技術への対応は現時点で確実と言える状況にはなく、この観点からは、解決すべき課題が多く存在している。
− また、直噴等エンジンは、小排気量の車及び積載、加速度等負荷条件の大きい用途に用いる車両にあっては、成層燃焼領域の使用頻度が減少することから燃費改善効果は減少する。
という問題がある。

○ また、直噴等エンジンは燃費面で効果が大きい技術なので、直噴等エンジン搭載車を単純にトップランナーとした場合、100%投入しないと達成できないような目標設定をすることとなる。しかしながら、直噴等エンジンは、上記のような問題があることから、こうした目標値を設定した場合、1)従来型エンジンの開発を阻害するおそれがあり、また、2)従来型エンジンの生産ラインが解消されることとなるため、迅速に代替する生産体制を構築することが困難となり、生産に大きな支障を来し大きな経済損失が発生するおそれがある。

○ 従って、全ての車に直噴等エンジンを搭載することを前提にした燃費基準を策定するよりも、直噴等エンジンと従来型エンジンの両方の存在を前提としつつ、それぞれの方式について燃費向上を進めていくことが必要である。

○ このような考え方に基づき、直噴等エンジン搭載車が最も燃費の良い車となっている区分の目標基準値設定に当たっては、直噴等エンジン搭載車と従来型エンジン搭載車を対等(直噴等エンジン搭載車:従来型エンジン搭載車=50:50)に取り扱い、それぞれの最大限の技術改善と燃費向上が期待できるよう目標基準値を設定することとする。

(3) 上記の「目標基準値」を設定し、1995年度と同じ出荷台数比率と仮定した場合の、1995年度実績値からの消費効率の向上率は、以下のとおりである。

<ガソリン自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2010年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 12.3 15.1 22.8
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 14.4 16.3 13.2
全 体 12.6 15.3 21.4

<ディーゼル自動車>

1995年度
実績値(km/l)
2005年度
推定値(km/l)
向上率
乗用自動車 10.1 11.6 14.9
車両総重量2.5t以下の貨物自動車 13.8 14.7 6.5
全 体 10.7 12.1 13.1

(参考)

<地球温暖化対策推進大綱(平成10年6月19日:地球温暖化対策推進本部決定)抜粋>

「省エネルギー基準等の強化」

1) 自動車の燃費基準の強化
改正省エネルギー法に基づき、1999年4月に予定されている改正省エネルギー法の施行に併せて、自動車の燃費基準をトップランナー方式の考え方に基づき強化し、燃費について2010年度までに1995年度比15%乃至20%超の向上を目指す。

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