(別添5)
エアコンディショナーの基本指標、
エネルギー消費効率
及び
測定方法について
1.基本指標、エネルギー消費効率及び測定方法の考え方について
エアコンディショナーの基本指標は、冷房能力(W)とする。
エネルギー消費効率については、 従来の基準と同様、冷房能力(W)を冷房消費電力(W)で除した値(以下「冷房COP」)と、暖房能力(W)を暖房消費電力(W)で除した値(以下「暖房COP」)を用いる(参考6現行省エネルギー法における定義」参照)。
測定方法については、JIS B 8616 パッケージエアコンディショナ及びJIS C 9612 ルームエアコンディショナに規定する冷房能力試験及び暖房標準能力試験によるものとする (参考7試験条件」参照)。
(1)冷暖房兼用エアコンに関するエネルギー消費効率及び測定方法
冷暖房兼用のものについては、冷房と暖房という2つの機能を総合的に評価する必要があるため、冷房及び暖房それぞれの平均COPを用いる。
(JISに定める冷房能力試験に基づく冷房COPと暖房標準能力試験に基づく暖房COPの平均値)
(2)冷房専用エアコンに関するエネルギー消費効率及び測定方法
冷房専用のものについては冷房COPを用いる。
(JISに定める冷房能力試験に基づく冷房COP)
2.マルチタイプの測定方法について
今回、適用範囲に追加するマルチタイプについては、JISの改正により、JIS B 8616 パッケージエアコンディショナで適用対象となっており、温度条件等の基本的内容は定められているが、エネルギー消費効率を測定するために必要となる詳細な条件等は設定されていないため、今回の基準への対象化に当たり、測定方法を決定する必要がある。
マルチタイプは室外機1台について複数台の室内機を使用するものであるため、1台の室外機に接続される室内機の能力、形態、台数等の組合わせは多岐にわたり、それらのすべてについてエネルギー消費効率を評価するのは現実的でないと考えられる。
このため、1つの室外機に対する室内機の標準的組合せを設定することとし、次に定める方法によりエネルギー消費効率を評価する。
(注)なお、ここでいうマルチタイプとは、セパレート型のエアコンディショナーのうち、1の室外機に2以上の室内機を接続し、かつ、室内機を個別制御できるものをいう。
 (1) 測定方法
 マルチタイプについては、1の室外機に対する以下に示す標準的な室内機の組合わせで、室内機を同時に運転した場合において、JISに規定する冷房能力試験、暖房標準能力試験を行い、その測定値をもってエネルギー消費効率を算定する。
 (2) 標準的組合わせ
A) 1の室外機に対する室内機の組合わせが1通りしかないものは、その組合せを標準的組み合わせとする。
B) 1の室外機に対する室内機の組合わせが2通り以上あるものは、次の組合せを標準的組み合わせとする。
(ア) 接続する室内機の形態は、そのマルチタイプの使用上最適なものとし、壁掛け形又は四方向カセット型を原則とする。
(イ) 接続する室内機の台数は、室外機に室内機ごとの接続口を持つものはその口数、個別の接続口がないものは2台を原則とする。
(ウ) 接続する室内機の能力は、その冷房能力の合計と室外機の冷房能力との比が1となるものを選定する。ただし、室内機の冷房能力の合計と室外機の冷房能力の比が1となる組合せがないものは、1の間近の組合せを選定する。
3.ダクト接続形の測定方法について
(1)ダクト接続形エアコンディショナーについて、現行規格で測定方法を規定しているのはJIS B 8616-1993 パッケージエアコンディショナであるが、現在、ISO 13253と整合したJIS原案として、「ダクト接続形エアコンディショナと空気対空気ヒートポンプ定格性能及び運転性能試験」が審議中である。
(2)現行のJIS B 8616-1993 によるダクト接続形の測定方法の要点を次に示す。 A) 製造業者の指定した機外静圧(定格機外静圧)になるように試験装置のダンパー等を調節し、送風運転時の風量試験を実施、定格風量を確認する。
B) ダンパー等の調節位置をそのままで冷房試験、暖房試験を実施し、能力、消費電力を決定する。
(3)また、ISO 13253に整合したJIS原案におけるダクト接続形の測定方法の要点を次に示す。
A) 製造業者の指定した最小機外静圧時の室内側風量を定格風量とし、この定格風量に基づいて、冷房試験、暖房試験を実施する。
B) 冷房能力、冷房消費電力の計算において、機外静圧を0(ゼロ) としたときを基準とするため、冷房能力、消費電力の補正を行う。
・冷房能力(W)に機外静圧がゼロより大きいために要した送風機の消費電力(W)を加える。
・送風機の入力について、機外静圧がゼロより大きいために要した送風機の消費電力を減ずる。
こうした状況を踏まえれば、ダクト接続形の測定方法としては、「機外静圧を与えて測定した能力・消費電力による値」と、「与えた機外静圧を消費電力に換算して補正した能力・消費電力による値」との2つが考えられることになる。
このように、現行JISとISOに整合した改正JIS原案では測定方法が一部異なるが、実際の冷房能力を示すことによるユーザ等の利便性への配慮、ISO規格の改正の可能性等を踏まえ、当面、「機外静圧を与えて測定した能力・消費電力による値」(現行JIS)による方法を基準とする。
(注)現在、ISO規格は全面的な改正作業が進められている。

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