(別添 1)
エアコンディショナーの適用範囲について


1.現行法における適用範囲の規定について
(1)現行省エネルギー法の規定
現行省エネルギー法では、エアコンディショナーの適用範囲について次のように規定している。

[省エネルギー法施行令]
(特定機器)
第7条法第18条第1項の政令で定める機器は、次のとおりとする。
2エアコンディショナー(暖房の用に供することができるものを含み、冷房能力27キロワット以上のもの及び水冷式のものその他通商産業省令で定めるものを除く。)


[省エネルギー法施行規則]
(特定機器の適用除外)
第12条令第7条第2号の通商産業省令で定めるエアコンディショナーは、次に掲げるものとする。
1圧縮用電動機を有しない構造のもの
2電気以外のエネルギーを暖房の熱源とする構造のもの
3機械器具の性能維持若しくは飲食物の衛生管理のための空気調和を目的とする温度制御機能又は除じん性能を有する構造のもの
4専ら室外の空気を冷却して室内に送風する構造のもの
5スポットエアコンディショナー
6車両その他の輸送機関用に設計されたもの
7室外側熱交換器の吸排気口にダクトを有する構造のもの
8分離型であって1の室外機に2以上の室内機を接続して用いる構造のもの


2.除外範囲について
現行省エネルギー法で適用除外とされ、今後も適用除外とすることが必要な製品と、最近になって新たに製品化され評価方法の未確立等により適用除外とすべき製品について以下に示す。
(1)電気で駆動する一般のエアコンディショナーについて
 1)冷房能力が28kWを越えるエアコンディショナーについて
冷房能力が28kWを超えるエアコンディショナーは、主として工場等に設置される特注品であり、仕様も多様である。また、これらの製品の試験の方法については、JIS規格上も対象としておらず、評価方法が必ずしも確立していない。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約33,000台
2)水冷式のエアコンディショナーについて
水冷式のエアコンディショナーは、冷却水系の存在等特殊な条件下で使用されているとともに、暖房については別の熱源が必要な特殊な製品である。また、出荷台数は長期的に減少傾向をたどっている。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約21,000台
3)電気以外のエネルギーを暖房の熱源とするものについて
冷房は電気で行い、暖房の熱源にガス・石油等の燃焼熱を利用する複合商品であり、ヒートポンプによる暖房では暖房負荷をまかなえない寒冷地等で限定的に利用されている。
現在、測定方法についての国際規格はなく、国内においても確立していない。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約47,000台
4)機械器具の性能維持・飲食物の衛生管理を目的とするもの
電算機室用パッケージエアコンディショナー、クリーンルーム用パッケージエアコンディショナー、低温用パッケージエアコンディショナー等の名称で呼ばれる一般のエアコンディショナーとは異なる特殊な空気清浄度、温度・湿度を維持するためのエアコンディショナーであり、ほとんどが特注品である。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約8,000台
5)専ら室外の空気を冷却して室内に送風するもの
オールフレッシュ形と呼ばれ、病院の手術室、工場の外気処理、防爆施設等特殊な用途に用いるものである。
建築側からの制約が大きく、数量的にも極めてわずかである。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約600台
6)スポットエアコンディションナー
主として工場において、作業環境改善のために作業者に向けて冷風を送る特殊な形態のものであり、評価方法も確立していない。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約65,000台
7)室外側熱交換器の吸排気口にダクトを有するもの
ウォール形エアコンディショナーのうち、建物の壁を直接貫通するのではなく、スリットを通じて、室外側熱交換器の吸排気をダクトで行うもの。
建築側からの制約が大きく、数量的にも極めてわずかである。
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約5,000台
(2)電気駆動式でないもの、輸送機関用のものについて
圧縮用電動機を有しない構造のもの、車両その他の輸送機関用に設計されたものについては、駆動源及び構造等が大きく異なっている。
 1)圧縮用電動機を有しない構造のもの ・ガスエンジン駆動ヒートポンプエアコン
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約40,000台
2)輸送機関用に設計されたもの
・自動車用エアコン
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約5,915,000台
・バスエアコン
*出荷台数の推定 97冷凍年度 約15,000台
・鉄道車両用エアコン
*出荷台数    97冷凍年度 約4,300台

(3)新たな除外規定の追加について
近年新たに商品化された次の製品は、未だ出荷台数もわずかであり、評価方法についても現在未確立であることから、適用除外にすることが適当と考える。
 1)蓄熱式エアコンディショナー
蓄熱槽を設け、夜間に冷熱を蓄え、昼間にその冷熱を得ながら冷房をするエアコンディショナーで、電力需要の平準化のため新たに開発され、今後の普及が期待されているが、現在はわずかな台数にとどまっている。 また、国際規格はなく、測定方法の確立は今後の課題である。
*出荷台数 97冷凍年度 約2,500台
2)高気密・高断熱住宅用ダクト空調システム
近年の高気密・高断熱住宅向けに専用に開発された製品で、普及はこれからである。排気と吸気との間の熱交換機能を有するなど、評価方法については今後検討が必要である。
*出荷台数 97冷凍年度 約 5,000台
3)ソーラー専用エアコン
ソーラー専用エアコンは、電源供給部分等も含め専用の設計になっている。加えて、ソーラーにより生まれた電力の消費をいかに評価するかなどの課題があり、評価方法については確定していない。また、普及台数は、現時点では極端に少ない。
*出荷台数 97冷凍年度 約 40台

3.適用範囲の拡大について
(1)冷房能力28kWまでへの拡大について
現行省エネルギー法の基準検討時以後、JIS B 8616-1993パッケージエアコンディショナが改正され、JISの適用範囲が冷房能力27kW以下までから28kW以下までと拡大された。こうした状況等を踏まえ、今回適用範囲に含めることとする。
この範囲の拡大によって、約 35,000台が追加されることとなる。
(2)マルチタイプについて
分離型のうち1の室外機に2以上の室内機を接続し、かつ室内機を個別に制御するマルチタイプのエアコンディショナーは、増加傾向が続いている。また、現行省エネルギー法の基準検討時以後、JIS B 8616-1993パッケージエアコンディショナが改正され、適用範囲がマルチタイプまで拡大されている。
こうした状況等を踏まえ、今回、必要となる評価方法の基本的事項を定めるとともに、適用範囲に含めることとする。
この範囲の拡大によって、約148,000台が追加されることとなる。

4.数量の推定について
上記2及び3に示す除外・追加を踏まえると、適用となるエアコンディショナーの数量は次のとおりとなる。

1997冷凍年度のエアコンディショナーの国内向け出荷における適用数量
(単位:千台、( )内%)
  冷暖房兼用形 冷房専用形 合   計
現行省エネルギー法
対象製品
7,070 448 7,518(95)
「28kW」クラスと
マルチタイプの計
179 4 183(2)
合   計 7,249 452 7,701(98)
除外されるエアコンの計 187(2)
合   計 7,888(100)
(注)なお、上記の表には、電気駆動式でないもの、輸送機関用に設計されたものは含んでいない。

5.輸送機関用に設計されたもの
輸送機関用に設計されたものについては、97冷凍年度において、約600万台程度出荷されているところであるが、現在、その使用状況、エネルギー消費効率等の実態把握に努めているところであり、その結果を踏まえて対象機器とするか否かについて別途検討を行う。

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