|
トヨタ自動車
第4生技部ダイカスト技術室
1.テーマの概要
当社はエンジンブロックの(鋳鉄から)アルミ化を推進中である。これに対応すべく今回新たにブロック生産ダイカスト工場を新設した。工場新設に際し’97年の地球温暖化防止京都会議で提唱されたCO2排出削減を進めるべく新設工場ならではの省エネアイテムを採用し目標以上の効果が得られたので紹介する。
エネルギー年間使用量
電力 527,400MWH
LNG 11,658KNm3
2.実施例
今回盛り込んだ省エネ対策の中で効果確認できている主な実施例を以下紹介する。
2−1 高効率溶解炉 (従来技術の横展)
今回3.5t/Hの連続溶解炉新設に当たり,下記の従来技術を積極的に採用し省エネを最優先して計画した。
1)炉表面温度低下(バックライニング厚Up)→新たな取り組み
2)溶解バーナー適正配置
3)廃熱回収用熱交換器設置
4)小容量集塵機採用(炉内圧調整+熱交換機採用による)
図−5に熱精算模式図を示す。
上記対応の結果,図−6に示すように従来比 運転時30%削減 保持時60%減を達成した,特に1)のバックライニング厚Upは保持燃費削減に効果が有った。

2−2 アンダーリジェネバーナー保持炉 (新技術による省エネ)
省エネ・溶湯品質の両立を目的に新開発した保持炉を採用した.この炉は図−7に示すように,アンダーヒーター炉の利点(溶湯品質)をガス加熱で実現するため,メーカーと共同開発した小型リジェネレイティブ(後述リジェネ)バーナーを炉側壁より挿入した構造とした。

従来アンダーチューブ構造の場合湯漏れ時の安全確保が困難なためガス加熱は用いられなかったが,燃焼チューブをクローズに出来るリジェネバーナーにする事により安全確保している。図−8に従来との燃費比較を示すが,従来トップバーナー比37%の省エネが図られた。

2−3 複合仕上げ機 (生産量に見合った設備)
複合仕上げ機の概念を図−9に示す。
ダイカスト工程の仕上げとは鋳造時に必要な湯道やバリ等を除去する工程で有るが,図−9の様にトリミングプレスからヘッド面切削まで数台の設備及び設備間を接続するコンベアーで構成し,高価なトリミングプレスの投資効率を高める為に生産能力をダイカストマシン2台分に設定していた。今回計画ではトリミングプレスを廃止してこれらの一連の工程を汎用複合仕上げ機1台の設備で構成し,最少生産単位であるダイカストマシンと一対の構成とすることで,生産量に見合った運転が可能となった。また,コンベアレス等装置構成もシンプルになり原単位の改善も図れ,消費電力は従来比 ▲23%低減を実現(図−10)した。さらに付随効果としてコンパクト化により設置スペースが12m3とダイカストマシン間のデッドスペースに配置可能となり工場全体スペースの削減に寄与できた。(図−11)

2−4 戻し材コンベアー廃止
図−12に戻し材コンベアー廃止の例を示す。従来ダイカスト工程では工程内で発生する湯道やバリ等を溶解工程へ搬送するため地下にコンベアを設置していた。今回の計画ではコンベアーの代わりにAGV(無人車)搬送とし大幅な投資削減と同時に装置としての省エネ 従来比 80%低減を達成できた。 また,生産(ダイカストマシン運転台数)に見合った運転が可能となり省エネ効果は更に期待できる。

2−5 汎用性向上による集約生産管理
図−13は従来類似工程と今回計画工程の設備汎用度を比較したグラフである.前述の汎用仕上げ機の採用やライナー納め機の汎用化など汎用度を上げ,末端のハンドや受け治具のみの交換で容易に生産部品を変更可能とした。これにより生産量の変動に応じ柔軟に設備を止める事が可能となり,生産の集約が可能な工場となった。
ダイカストマシン1台停止させた場合の省エネ効果は保持炉の保持エネルギー等が不要になるのでCO2排出量換算で約2.3T/月(全排出量の2%相当)の削減効果が予想される。この様に操業のやりくりで効率的なエネルギー消費が図れる工程となった。

2−6 エネルギー監視システム
主要設備に市販の電力計等センサーを装備し,オンライン接続してリアルタイムで電力,LNG,エアー等のエネルギー消費状況をモニターするシステム(図−14)を導入した。現在モニター機能のみの運用であるが,将来エネルギー使用状況を監視出来るシステムを構築し,生産に応じたエネルギー管理等木目細かな管理のツールとして活用して行く予定である。

3.省エネ効果
|