平成19年度 全国大会 実施事例
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冷温水発生装置のインバーター制御と配管接続による省エネルギー運転

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  オリエンタルモーター株式会社 鶴岡西事業所
総務部 安全環境管理室
 
◎ キーワード:
加熱、冷却、伝熱の合理化 (空気調和設備、給湯設備等)
◎ テーマの概要
   電力データを「見える化」する事で、ユーティリティーの中でも一番のウエイトを占める「冷温水発生装置」に着目し、「電力使用量の削減」と「燃料消費量の削減」の2つの観点から有効な改善案を模索し、PDCAサイクルを回しながら段階的に改善をステップアップさせて、省エネ目標値を達成すると同時に大きなコストメリットをもたらした事例である。
 
◎ 当該事例に対する実施期間
平成16年04月〜
  ・企画立案の期間 平成16年04月〜平成16年09月 延べ06ケ月
  ・対策の実施期間 平成16年10月〜平成18年11月 延べ26ケ月
  ・対策効果確認期間 平成17年04月〜  
 
◎ オリエンタルモーター株式会社 鶴岡西事業所 概要
  事業内容:精密小型モーターの製造販売
主力製品:AC小型モーター、ギヤヘッド
従業員数:315名(平成19年3月)
エネルギー管理:指定工場外
 
◎ 対象設備の工程概要
  西事業所の冷暖房をしている「冷温水発生装置」(図-1)は冷温水発生機、冷温水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔から構成され、事業所の1棟、2棟それぞれに1式づつある。発生する冷温水は配管を通じ各棟のパッケージエアコン(ファンとコイルで構成)に送られる。また、冷温水発生機の燃料は灯油で、冷却水ポンプ、冷却塔は夏季のみの運転で冬季間は稼動しない(図-2)。
図-1 2台の冷温水発生装置(奥2号機、手前1号機  図-2「対象設備の工程概要」
 
1. テーマ選定の理由
   各設備電力の現状調査結果から(図-3)、最大需用電力647kwに占めるユーティリティーの割合が32%と高く(図-4)、そのほとんどが今回対象の「冷温水発生装置」一式であり、その消費電力の合計は130kwでそれだけでも最大需用電力の20%に該当する事が分かった(図-5)。
図-4 西事業所の設備別電力のパレート図 図-5 西事業所の電力用途割合図-6 全体に占める冷温水発生装置の割合
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2. 現状把握
   見えない“電気"を「見える化」すれば改善の切り口となり省エネに結びつけられると考え、`03年からクランプオンハイテスタ(図-6)を使用して、各設備の1秒毎の電圧・電流・電力・力率などのデータを捉えはじめた。今回の問題点も「見える化」した事で分かった事例である。ただ、西事業所の全設備は300台以上もあり測定とデータベースの構築には、半年以上の時間を費やした(図-7)。
図-7 クランプオンハイテスタ  図-8 測定結果をデータベース化
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3. 活動の経過
  (1)取組み体制
     省エネ改善は'00年のISO14001取得とともにスタートし'01年に受診した省エネルギーセンターの「省エネ診断」をきっかけに本格化し、'03年には全社の横断的プロジェクトである「省エネ研究会」(図-8)が発足した。現在は各部門がマネジメントプログラムを通じて省エネ課題を計画・実行するのを支援する形で、研究会の各事業所の代表者が改善事例を発表、共有化しながら省エネ活動を推進している。
 私が所属する総務部安全環境管理室はEMS活動を推進する立場にあり、ユーティリティー設備改善の責任部門でもある。今までもタップ切替え、デマンド制御などの省エネ改善を実施してきた。今回改善対象の「冷温水発生装置」の管理責任部門も総務部であるために担当となった。
図-7 省エネ研究会組織図
 
  (2)目標の設定
     
 '05年度当時、増産傾向にあった西事業所の省エネ目標は売上原単位の電力量の削減だけで、絶対値削減の目安としては年間電力使用量240万kwh以下(削減量15万kwh)と立案していた(図-9)
図-8 `05年度西事業所の省エネ目標
 
  (3)問題点とその検討
     冷温水発生装置の夏季5日間の運転状況を、電力の推移で見ると2点の問題点に気付く(図-10)。
1点目は運転中の電力が常にほぼ一定である事である。これは冷却水ポンプが停止する冬季間も含め、外気温や運転負荷の変化に関係なく消費電力がほぼ変化しないという傾向が見られる。
 2点目は生産活動が終了する定時17:30を過ぎて深夜までも運転している事である。これは定時以降に手元にあるパッケージエアコンの電源は各自が切るが、離れた機械室にある冷温水発生装置の電源は最終退社者が切るルールだからであり、消し忘れて守衛が切る場合もある。
図-9 冷温水発生装置の運転状況(1式分)
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4. 対策の内容(ステップ1)
  (1)事例1 : 冷却水ポンプ、冷温水ポンプのインバーター化
   
[1]冷却水ポンプ、冷温水ポンプの概要と問題点
空調能力を見直す場合には複雑な室内負荷計算が必要となるが、今回着目したのは冷温水の往きと還り温度である(図-11)。夏季ピーク時の冷水温度の往き還り温度を測定すると、温度変化が小さく設備仕様と比較してもかなり余力がある事が分かった。そこで省エネ研究会メンバーやメーカーにも相談し冷却水ポンプ、冷温ポンプ(図-12)の有効な省エネ方法を検討した。
図-10 冷却水ポンプ(奥)と冷温水ポンプ(手前)  図-11 冷水温度の往き(左)と還り(右)の温度
 
   
[2]対策の方策
三相モーターのインバーター化(図-13)は高調波対策をすれば可能であるが、機械室までの距離があるため周波数を手動で切替えるのは運用上困難で、自働にした場合は投資金額が高い点がネックとなっていた。しかし当時は増築に伴う「電源地域再配置補助金」の交付対象に空調ポンプのインバーター化が該当したので工事を検討した(図-14)。 ところが申請段階で交付対象から外れてしまった。それでもスケジュール運転機能と遠方監視発停機能(図-15)を追加し2点の問題点を解決できる方式で再設計し、投資対効果で回収年数が3年以内である事を経営層に説明し、理解してもらい`05年3月より着工する事が出来た。
図-12 インバーター制御盤
図-13 インバータ制御の接続イメージ  図-14 2F監視操作盤
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5. 対策後の効果(ステップ1)
   今回の活動でポンプの消費電力量は28万kwh/年から14万kwh/年に半減し、冷温水発生装置の電力削減効果は14万kwh/年となり(図-16)、事業所全体の電力量削減も目標15万kwh/年の削減に対し、16万kwh/年の削減と目標を達成する事が出来たのである(図-17)。
図-14 ポンプの省エネ効果  図-15 西事業所の電力削減推移
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6. 新たな問題点とその検討
   目的である「電力消費量の削減」については達成する事ができ、コスト面においても契約電力抑制を含め電気料金を削減する事ができた。しかし灯油使用量も同時に削減できたにもかかわらず`04年から灯油の高騰が続き、購入金額は逆に増加して電気料金の削減効果は打ち消されてしまった(図-18)。管理不能な外部要因ではあるが、PDCAサイクルのCheckに当るマネジメントレビューでも経営層から指摘され`05年以降「燃料消費量の削減」の改善を迫られた。
 今までの省エネ目標値でCO2排出量削減も目標にはしていたが参考値レベルで、灯油の価格が安価安定していた事もあり「電力消費量の削減」の課題のみに終始していた。'06年度はその点を反省しCO2排出量削減目標も27t-CO2/年と明確にし、事業所で唯一灯油を燃料としている冷温水発生装置に再度的を絞って「燃料消費量の削減」をマネジメントプロプログラムの課題に取り上げ改善案を模索した。
図-16 西事業所の灯油使用量推移
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7. 対策の内容(ステップ2)
  (1)事例2 : 冷温水配管のバイパス管接続による1台運転化
   
[1]冷温水配管の概要と問題点
ポンプのインバーター化後の確認で、夏季ピーク時も時間帯によっては最低周波数の35Hzで2台とも運転している点に着目し、冷水温度の往き還り温度(図-19)を再度測定した。室内温度は範囲内なのに冷水温度の温度変化が2〜3℃と小さく、前回メーカーからアドバイス頂いた数値に対してまだ余力がある事が分かった。そこで省エネ研究会メンバーやメーカーや施工業者とも相談して、灯油を消費する冷温水発生機(図-20)に的を絞り有効な省エネ方法を検討した。
図-17 冷水温度の往き(左)と還り(右)の温度  図-18 灯油を消費する冷温水発生装置
 
   
[2]対策の方策
1号機の高額なオーバーホールの時期も運転時間基準で切迫していた事もあり、1台を「止められないか」という切り口で検討した。2台の冷温水配管をバイパス管(図-21)で接続し、差圧制御弁(図-22)を介す事で、理論上は1台での運転が可能である事が分かった。投資対効果と想定されるリスクを考慮しても、大きなメリットが算出されるので`06年11月に工事に踏み切った。また対策工事以降は冷温水発生装置の1号機、2号機の運転を交互に行う事にした。
図-19 追加して連結したバイパス配管  図-20 差圧制御弁
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8. 対策後の効果(ステップ2)
   今回の活動で冷温水発生装置の冬季間(10月〜3月)の灯油消費量は、`05年度77kL/年から'06年度57kL/年に削減し(図-23)、灯油削減効果は20kL/年となった。`06年11月からの改善で暖房時の効果のみのため、半期での実績比較ではあるが使用量・金額ともに大きな成果が得られている。更に夏季においてもバイパス配管を使用して運用できたので本年度は大幅に削減できる見込みである。また消費電力量も28万kwh/年から14万kwh/年に削減し、電力削減効果は14万kwh/年となり、メインとなる事業所全体のCO2排出量削減も目標27t-CO2/年の削減に対し、30t-CO2/年の削減(図-24)と目標を達成する事が出来たのである。
図-21 西事業所の灯油消費量推移(冬季のみ) 図-22 西事業所のCO2排出量推移
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9.活動のまとめ
   「見えない“電気"を「見える化」すれば改善の切り口となり省エネに結びつけられる。」
 この考えから売上増、新規導入設備増の中でも`06年度の省エネ目標を達成でき、更には絶対値を削減する事ができた。`07年度以降の目標に対しても、次の改善につながる設備電力のデータベース化を構築できた事で、目標を達成出来る自信がついた。またメーカーや施工業者など専門知識を持った方々を巻込んだ改善活動をした事で、従来の自社には空白であったユーティリティーの知識や改善手法を多く吸収、補完する事ができ今後の活動への弾みとなった。
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10. 今後の進め方
   今回の発表内容は省エネ推進部門のユーティリティーの改善事例であるが、'06年度から「見える化」した電力のデータベースを活用し、各部門がマネジメントプログラムの課題と連動させて省エネ改善の効果を数値表現できるまでになっている。今後はそのしくみを維持継続できるようにし、省エネ活動の重要さを意識付け全員参加で省エネ改善できるように推進していく。
今後の取り組み内容
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