平成19年度 全国大会 実施事例
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6号海水ブースタポンプ消費電力の更なる削減

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  関西電力(株) 姫路第一発電所
ネバーギブアップ サークル
 
◎ キーワード:
その他(設備運用方法の改善)
◎ テーマの概要
   6号機はコンバインドサイクル(多軸再熱型)発電設備であり、ガスタービン発電設備と蒸気タービン発電設備を組み合わせた複合発電設備で発電熱効率(総合)が48%以上と高効率発電所であるが連続運転補機が多々あり、所内動力の削減を図る運用合理化への取り組み事例を紹介する。
 
◎ 当該事例に対する実施期間
平成17年 4月 〜 平成18年 8月
  ・企画立案の期間 平成17年 4月 〜 平成17年 4月  
  ・対策実施の期間 平成17年 4月 〜 平成18年 7月  
  ・対策の確認期間 平成18年 7月 〜 平成18年 8月  
 
◎ 事業所の概要
  生産品目 電力(総最大電力 1,442MW)
  総従業員 94 人(平成19年4月1日現在)
  エネルギー年間使用量(平成18年度実績)
  発電電力量 8,398,556 MWh
  消費電力量 167,356 MWh
  燃  料 1,639,988 KL(原油換算量)
 
◎ 姫路第一発電所    5,6号機の設備仕様を表-1に示す。
 表-1  姫路第一発電所  5,6号機の設備仕様(大気温度22℃設計ベース)
 
1-1. テーマ選定理由
   姫路第一発電所の運営計画の中の「発電原価の低減活動」の一環として、連続運転補機の運用合理化への取り組みを継続して実施している。
 その中で、6号海水ブースタポンプの消費電力の更なる削減について検討を行った。
 
1-2. テーマの説明
   冬期の海水温度低下時、海水ブースタポンプ(以下SWBPと略す)を1台減台することによりユニット運転中の所内電力節減を図っているが、SWBP2台時復水器入口海水温度25℃時における冷却水温度制御弁開度が35%と少ないため減台運用海水温度の見直しを行うことにより更なる省エネが図れる見込みがあるので検討を行った。
 
 6号機:H13年度よりSWBP冬期減台運用開始 減台運用海水温度22℃以下
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2-1. 現状把握
   SWBPの冬期減台(1台)運用の要領を調査した。
 1.復水器入口海水温度が規定値以下にて「冬期運用」とし、SWBP1台停止する。
 2.冷却水冷却器3台中2台の海水側はブローし、冷却水側は通水のままとする。
 
 
【冷却水クーラ海水側2台ブロー理由】
 SWBP1台停止により、海生生物の繁殖防止最低流速(5号機:1.0m/s、6号機:1.6m/s)を確保すること、ならびにSWBPの過負荷を防止するため、冷却水冷却器1台の海水出口弁を閉止する。
 これに伴い、海水腐敗防止の観点で海水出口弁を閉止する冷却水冷却器の海水側をブローする。
 
 SWBP2台運転時の系統図を図1、1台運転時を図2に示す。
図1 系統図(SWBP2台運転時)
 
   冷却水クーラ最低流速確保、ならびにSWBP過負荷防止のため、減台運転移行時には下記操作を行う。
 
 [1]冷却水冷却器海水排出弁;全開→中間開
 [2]冷却水冷却器海水出口弁;全開→全閉、全開→中間開
 ここで、SWBPは1台時、2台時共ほぼ定格で運転している。
図2 系統図(SWBP1台運転時)
 
   6号機運開以降、SWBP冬期減台運用の海水温度は17℃設定であったが、H13年度に22℃に変更し、現在に至るまで安定して運用されている。
 SWBPと3台の冷却水クーラの運転要領を表1に示す。
表1 SWBP、冷却水クーラ運転要領
   (注)冬季運用とは、復水器入口海水温度22℃以下の場合、APSによりユニット起動時に停止しているSWBPを追加起動しないシステムである。
 
2-2. 現状分析
   復水器入口海水温度と冷却水温度制御弁開度の関係について調査した。
 実績より復水器入口海水温度と冷却水温度制御弁開度との関係を調べたところ、冷却水温度制御弁の制御特性から、"制限開度70%"を制御限界とすれば、海水ブースタポンプの減台運用は復水器入口海水温度28.5℃まで可能と推測される。
 復水器入口海水温度と冷却水温度制御弁開度との関係を図3に示す。これより、復水器入口海水温度が29℃にて、冷却水温度制御弁開度の制御限界である"開度70%"となることが推測できる。
 
 次に、1年間の復水器入口海水温度について時節変化を調査した。
 暦年別復水器入口海水温度の推移を図4に示す。
 現在のSWBP減台運用海水温度である22℃以上となる区間をA区間、冷却水温度制御弁開度より減台運転が可能であると推測される28℃以上となる区間をB区間とした。
 これより、SWBP減台運用海水温度を22℃→28℃に変更すると、平均116日海水ブースタポンプ減台運用期間が長くなることがわかる。
 更に、最高海水温度が30℃未満であるため、復水器入口海水温度の制御可能上限温度が30℃となった場合には常時1台運用の可能性もある。
図3 復水器入口海水温度と冷却水温度制御弁開度との関係
 
図4 暦年別復水器入口海水温度の推移
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3-1. 目標設定
   目標
 復水器入口海水温度28℃までのSWBP1台運用 → 最終目標:常時1台運転

 
 現状の海水温度推移におけるSWBP運転台数と目標とする28℃までの減台運転の予想状況を図5に示す。
図5 復水器入口温度のおける運転台数目標
 
3-2. 取組み体制
   復水器入口海水温度28.5℃までSWBP減台可能と予想されたので海水温度27℃における事前テストを実施した。
 テスト要領、項目、体制を図6に示す。
図6 テスト実施要領
 
   事前テストを行った結果を表2に示す。
表2 テスト結果1
   この結果、復水器入口海水温度27℃で冷却水温度制御弁開度が90%と制限値を大きく超過した。
 このため、冷却水クーラの交換熱量よりSWBP減台可能海水温度を算出し評価することにした。
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4-1. 方策検討
   冷却水クーラの交換熱量によりSWBP減台可能海水温度の検討を行った。

 全設計交換熱量4,200MJ/hを冷却水クーラ1台で処理した場合の復水器入口海水温度上限値を求めた。
 復水器入口海水温度とクーラ冷却面積の関係を図7に示す。
図7 復水器入口海水温度とクーラ冷却面積(設計容量)
 
   冷却水クーラ1台で全設計交換熱量4,200MJ/hを処理するには、上図より復水器入口海水温度が25.3℃までなら可能と予想できる。
 ここで、設計交換熱量100%ベースは設計交換熱量を冷却水クーラ1台にて、交換熱量を処理した場合、設計交換熱量50%ベースは設計交換熱量を冷却水クーラ2台で処理した場合を示す。
 
 次に、実際の交換熱量(5号機バックアップおよび共用設備を除く交換熱量)を冷却水クーラ1台で処理した場合の復水器入口海水温度上限値を求めた。
 設計交換熱量から設計余裕、ならびに通常は処理しない5号機バックアップおよび共用設備の熱量を除くと冷却水クーラ必要冷却面積と海水温度の関係は下記のようになる。
  全設計交換熱量:4,200MJ/h
  所要交換熱量:3,929.0MJ/h〔差:271.5MJ/h(6.9%)〕
  5号機バックアップおよび共用設備の熱量:386.4MJ/h(9.8%)
  実際の交換熱量=所要交換熱量-5号機バックアップおよび共用設備の熱量
    =3,929.0MJ/h-386.4MJ/h
=3,542.6MJ/h
   
実際の交換熱量を処理する場合の復水器入口海水温度とクーラ冷却面積の関係を図8に示す。
図7 復水器入口海水温度とクーラ冷却面積(実容量)
 
   冷却水クーラ1台で実際の交換熱量3,542.6MJ/ hを処理するには、上図より復水器入口海水温度が約26.5℃までなら可能と予想できる。
 
 これらの結果より、通常運用での実際の交換熱量が設計に比べて84.3%と少なく、設計冷却面積に十分な余裕があることから、海水温度26℃までならSWBP減台可能と推定される。
 これに伴い以下のように目標の再設定を行った。
 
 目標
 復水器入口海水温度26℃までのSWBP1台運用
 
4-2. テスト実施
   6号機海水ブースタポンプ減台(1台)運用テストを海水温度24℃以降1℃毎順次ステップ的に実施し、冷却水温度制御弁の制御限界である70%開度まで運用可能な復水器入口海水温度および異常の有無を確認することとした。
 テスト結果を表3に示す。
表3 テスト結果2
   この結果、復水器入口海水温度26℃まではSWBP減台可能であることがわかった。
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5. 対策の効果
   暦別の海水温度22℃、26℃以上の日数を表4に示す。
表4 暦別海水温度-日数
 
   海水温度26℃とすると、年間67日程度SWBP減台できる。
 これにより
数式
   の省エネが図れる。
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6. 反省
 
  • 事前検討が甘く目標の再設定をしたが、冷却水クーラの交換熱量計算によりSWBP減台可能海水温度を算出し、サークル員の熱計算技術力向上が図れた。
  • テスト条件が復水器入口海水温度であり、活動期間が長期になった。
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7. 今後の計画
 
  • SWBP減台運用海水温度を22℃から26℃に変更するよう上申する。
  • 5号機も設備の差を評価した上で可能であれば水平展開していく。
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