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待機ボイラーのエネルギー削減

  岩手東芝エレクトロニクス(株)
生産企画部 工務担当
省エネ推進熱源設備ワーキンググループ
◎ キーワード: 加熱・冷却・伝熱の合理化(加熱設備等)
放射、伝導等による熱損失の防止
◎ テーマの概要
   当社は、水管式ボイラーを4基保有しており、その中で待機中のボイラーに関わるエネルギーの削減について取り組んだ。 待機ボイラーは、稼動ボイラーに異常が発生した場合の早期立上げと、缶の保護(防食・ひずみ等)を目的に、1日に数回ボイラーを稼動(保温焚き)させていたが本活動で保温焚き回数を削減し、重油並びに電力の削減を行った。
 
◎ 当該事例に対する実施期間  
  ・企画立案の期間 平成16年 5月〜平成16年 7月  
  ・対策の実施期間 平成16年 8月〜平成16年10月  
  ・対策効果確認期間 平成16年 8月〜平成17年 8月  
 
◎ 当該工場・事業所の概要
  ・生産品目   集積回路(LSI、CCD 他)
  ・従業員数   1,806名
  ・エネルギー年間使用量(平成16年度実績)
     電力   263,041MWH
     A重油   12,848KL
 
◎ 対象設備の工程
図-1 ボイラー設備の概略フロー
図-1 ボイラー設備の概略フロー
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1. テーマの選定理由
  省エネは当社の重要課題であり、特にCO2排出に直結する重油についての削減が急務である。
  待機ボイラーは、稼動ボイラー異常時の予備機早期立上げ、ボイラーの保護(負圧によるひずみ防止・缶内の防食)を目的に保温焚き(缶圧を陽圧に維持するための一時的な稼動)を行っているが、蒸気の供給に寄与しない重油や電力を消費している。
 
2. 現状の把握及び分析
  (1) 現状の把握
  4基のボイラー(20t/h×3台、13t/h×1台)を蒸気負荷に応じて稼動させ、運転時間平準化のため一定期間でローテーションさせている。また、待機ボイラーは稼動中のボイラーに異常があった場合の早期立上げと、缶の保護のために、缶圧を0.1MPa〜0.8MPaの間に維持させていた。
(図-1 保温焚き)
図-2 保温焚きの概要
図-2 保温焚きの概要
 
(2) 現状の分析
  [1] 年間保温焚き回数調査
   ボイラー4基合計の年間保温焚き回数は1,222回/年も行なっていた。
図-3 年間保温焚き回数
図-3 年間保温焚き回数
  [2] 保温焚き一回あたりの平均消費エネルギー
   電気… 8.4 kWh/回   重油… 98 L/回
 
[3] ボイラーの年間運転形態
図-4 ボイラーの年間運転形態
図-4 ボイラーの年間運転形態
 
3. 活動の経過
  (1) 取組み体制
  当社では部門毎に省エネ部会が組織されているが、東芝グループで推進しているシックスシグマ活動の手法を取り入れ、技術スタッフ等と連携し活動した。
 
(2) 目標の設定
  待機ボイラーの保温焚き回数を減らし、使用エネルギーを削減する(燃料及び電力を現状に対し50%削減する)。
・重油;120kl/年 ⇒ 60kL/年(50%削減)
・電力;10MWh/年 ⇒ 5MWh/年(50%削減)
 
(3) 問題点とその検討
  保温焚き回数を減らすために、ボイラー1台の休缶を前提に現行管理を見直す。
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4. 対策の内容
  (1) ボイラー1缶の休止
  待機ボイラー1台を10ヶ月間休缶させる事とし、その他に保温焚き間隔の延長を目的に、保温焚き開始圧力の変更、ボイラー切替え周期変更を併せて実施することにした。
 
[1] ボイラー1缶の休止
  休缶を行うにあたり、8種類の休缶方式の中から以下の計算式で損失金額を出し、その結果最も安価な方式である缶内の水を全量排出し、マンホールを開放する方式(次頁表-1のNo.2方式)に決定した。
表-1 休缶方式の検討
表-1 休缶方式の検討
 
[2] 休缶リスクの検討
  待機ボイラーを休缶するにあたり、休缶中に缶に腐食等が発生し、整備費用が発生した場合の費用(保全コスト)と、定期的に保守員が水室内を確認する費用(点検費用)が休缶によるエネルギー削減費用を下回れば休缶する価値があるが、これを品質工学に於ける予防保全コスト:L(¥/年)で判断することにした。結果、17日以内に腐食等が発生しなければ休缶が有効との結論となり、休缶することとした。
  L=点検による損失 + 保全処置による損失 + 不良発生による損失
 
  (L点検+L保全+L不良)×10/12 <(休缶による削減効果 ;3,000k\/年)
A:機能限界      缶内清浄に要するコスト=900k\/台
△o:機能限界      錆の発生したベルマウスの本数…250本⇒全清掃
D0:現行の保全限界   錆の発生したベルマウスの本数⇒1本保全処置
B:点検コスト     検査+休缶施工費用  2.9k\/回
C:保全コスト     再稼動に要するコスト  12k\/回
J:点検のタイムラグ  ゼロ
n:現行の点検間隔   0.019年(1回/週の頻度)
u:平均保全間隔    再稼動という保全が発生するまでの期間という変数
 


[3] 休缶の実施

  ボイラー缶内の水を全量ブローし、マンホール開放にて水室内の状態を確認した。結果は、長年の薬注により防食皮膜(マグネタイト皮膜)が形成されており、マンホール開放のままで放置可能と判断しボイラー1台を休缶させた。
図-5 缶内の状態確認
図-5 缶内の状態確認
マンホールを開放し、内部の確認を実施
(防食皮膜が形成されており良好な状態)
 


[4] 経過観察

  缶表面に皮膜が形成されていたが、錆が発生する可能性もあり継続して同じ部位を写真撮影する事とした。撮影部位は、施工時に金属疲労しているベルマウス部(水管をかしめている部分)とした(図-6 ベルマウス部)。
結果として休缶開始から復旧までの約10ヶ月間錆の発生はなかった。
図-6 ベルマウス部、図-7 ベルマウス部断面図
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  (2) 保温焚き開始圧力の変更
  缶圧は、ボイラー停止後すぐに降下するが、その後の降下が緩やかなため0.1MPaで開始していた保温焚きを0.05MPa(-0.05MPa)で開始することにした。
図-8 缶圧の圧力降下
図-8 缶圧の圧力降下
 
その他、切替え周期を4日毎⇒1日毎とし、保温焚き回数を削減した。
 
5. 対策後の効果
  (1) 保温焚き回数
図-9 保温焚き回数
図-9 保温焚き回数
 
(2) 重油削減量
図-10 重油削減量
図-10 重油削減量
 
(3) 電力削減量
図-11 電力削減量
図-11 電力削減量
 
(4) 効果まとめ
  ・原油換算削減効果  81.5kL/年
・重油削減効果   3,000千円/年
・電力削減効果     60千円/年
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6. まとめ
  蒸気安定供給の面で、ボイラーを休缶させる事に異論を唱える関係者もいたが、蒸気の供給トラブルもなく、保温焚き回数が808回/年削減された。本施策の実行により、保温焚きに関わる重油・電力の使用量は共に約65%削減され目標を達成できた。また休缶に伴う改善費用についても、全て内製作業で行い外注費をゼロに抑えることができた。
 
7. 今後の計画
  今回の施策について、同様設備の関連事業所にPRし横展開を図っていく。今回は待機ボイラーのエネルギーを削減したが、今後も継続して燃料に関わるエネルギーの削減について一層努力していきたい。
 

-以上-
 
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