ECCJ Home | 総目次 | 17年度優秀事例目次 前頁 | 次頁
 
北海道地区 | 東北地区 | 関東地区 | 東海地区 | 北陸地区 | 近畿地区 | 中国地区 | 四国地区 | 九州地区
 

東新潟火力3号系列新型燃焼器導入による発電所負荷運用性の向上

  東北電力株式会社 東新潟火力発電所
コンバインド技術グループ
◎ キーワード: 燃料の燃焼の合理化
◎ テーマの概要
   東新潟火力発電所3号系列では、LNG基地で恒常的に発生しているBOG*1をガスタービンで処理すると燃焼振動が発生するため、コンベンショナルプラントでのBOG処理が余儀なくされコンベンショナルプラントの最低負荷を押し上げていた。
 そのためガスタービン新型燃焼器の開発・導入を行いBOGの処理を可能としたことにより効率の高いコンバインドサイクルプラントでの発電に負荷を移行でき、効率差による燃料量の削減ならびにNox、CO2等の環境負荷の低減が可能となった。
  *1 BOG (Boil Off Gas): LNGタンク攪拌,大気からの入熱などにより発生するガスであり,メタンが主成分である。
 
◎ 当該事例に対する実施期間  
  ・企画立案期間 平成13年 4月 〜 平成15年 4月 延べ24ヶ月
  ・対策の実施期間 平成15年 4月 〜 平成15年 7月(3-2系列)
平成16年 4月 〜 平成16年 7月(3-1系列)

延べ 8ヶ月
  ・対策効果確認期間 平成16年 9月 〜 平成16年12月 延べ 3ヶ月
 
◎ 工場・事業所の概要
  ・生産品目     : 電気
  ・従業員数     : 216名(平成17年4月現在)
  ・エネルギー使用量(平成16年度実績)
     LNG    2,640,985t
 
◎ 対象設備の工程
図-1:対象設備の工程
図-1:対象設備の工程
[TOP]
1. テーマの選定理由
   昨今の当社電源部門を取り巻く情勢としては、東通原子力発電所の運転開始および他電力への広域融通の終了などにより、ベース電源の比率が増加している。そのため火力電源は、深夜などの低需要時に最低負荷を低減することが求められている。
 東新潟火力発電所は、日本海LNG基地で恒常的に発生しているBOG*1を焚くことができる発電設備がコンベンショナルプラント(LNG低圧系)に限定されるため、BOGは全量LNG低圧系において処理している。このためBOGを燃焼可能なコンベンショナルプラントの最低負荷を押し上げている。
 一方、コンバインドサイクルプラント(LNG中圧系)は、BOGを燃焼させると3号系列ガスタービン燃焼器において燃焼振動が発生することからLNG中圧系へのBOG混入は困難であった。
 そこで、東新潟火力発電所の負荷調整能力等を向上させるため、三菱重工業(株)との共同研究を実施し、3号系列ガスタービンの新型燃焼器を開発・導入に取り組むこととした。
[TOP]
2. 現状の把握および分析
  (1) 現状の把握
  a. 東新潟火力発電所のプラント構成
     東新潟火力発電所はLNGを主燃料としたコンベンショナルプラント4基、コンバインドプラント2基で構成され、総出力は3,816MWである。
  b. 東新潟火力発電所燃料系統
     東新潟火力発電所はLNGを主燃料とし、供給圧力はコンベンショナルプラントでは、低圧(0.8MPa)コンバインドサイクルプラントでは、中圧(3.3MPa)を使用している。

図-2:東新潟火力発電所プラント構成
図-2:東新潟火力発電所プラント構成
 
  (2) 現状の分析
  a. 東新潟火力発電所の運用負荷制限
  (a)  現状LNG基地で恒常的に発生するBOGは全量低圧LNG系統に混入しコンベンショナルプラントで燃焼させていることから、コンベンショナルプラントの最低負荷を押し上げている。
  (b)  BOGを中圧LNG系統に混入可能となれば、効率の良いコンバインドサイクルプラントの稼動率を増加させることが可能となり、発電所の燃料費を節減することができる。
図-3 コンベンショナルプラント最低負荷時の燃料構成
図-3 コンベンショナルプラント最低負荷時の燃料構成
   
b. 3号系列ガスタービン燃焼器について
     3号系列ガスタービンについては、メタン濃度90.5%以上となると燃焼振動が増大し、管理値を超過するため3号系列へのBOG混入が出来なかった。
   
c. BOG混入による高メタン濃度燃料ガスの燃焼について
     高メタン濃度燃料ガスを燃焼すると燃焼速度が遅くなり、火炎が長く不安定となるため、燃焼振動(燃焼により発生した周波数と機器の固有振動数が一致し共振する現象)が発生し機器を損傷させる。安定した燃焼領域が狭いことならびに機器ごとに微妙に燃焼振動が違うことからガスタービンでの課題の一つである。
図-4 燃焼振動イメージ図
図-4 燃焼振動イメージ図
図-5 燃焼振動−火炎位置関係図
図-5 燃焼振動-火炎位置関係図
[TOP]
3. 活動の経過
  (1) 取組み体制
  a. 共同研究体制
図-6 共同研究体制
図-6 共同研究体制
  b. 導入・試験体制
図-7 導入試験体制
図-7 導入試験体制
 
(2) 目標の設定
   3号系列ガスタービンに適用できる高濃度メタンの燃焼可能な燃焼器の開発および導入を目標とした。
 開発に当たり、20年以上経過したガスタービン設備に最新技術を導入し、運用性の向上、延命化および低NOx化を目標とした。
 
(3) 問題点とその検討
   燃焼器が20年以上経過したガスタービンに既開発品である燃焼器(当所4号系列にて採用)をそのまま導入するとガスタービン体格に係わる大規模な改造が必要であり、膨大なコストがかかるため、既設設備に合わせた燃焼器の開発が必要となった。
[TOP]
4. 対策の内容
  (1) 基本設計
  a.  燃焼器の基本構造は、当所4号系列で低NOxおよび燃焼安定性の実績があるマルチノズルとし、燃焼器の延命化を可能とする最新の冷却構造とした。
  b.  BOG混入ガス(高メタン濃度燃料)の燃焼挙動調査を行いメタン濃度増加による着火遅れ時間などを確認、燃料ノズル孔径を最適化するためのシミュレーションを実施し、BOGを混入した場合でも安定した燃焼が可能な燃焼器を開発した。
 
(2) 大気圧燃焼試験
  a.  基本設計後、試作器により大気圧燃焼試験を実施し、燃焼安定性・冷却性能の更なる向上を目的に、尾筒・内筒の希釈空気孔の適正化および燃焼ガス温度の均一化を図るための下記改良を行い、負荷試験を実施した。
  (a) 燃焼空気を整流するために内筒フローガイドに整流板新設
  (b) 燃焼用空気配分を最適化するために尾筒スクープ孔(空気配分調整用孔)3箇所新設
  (c) 冷却性能を向上させるために各MTフィン、プレートフィンを採用

図-8 改良燃焼器構造
図-8 改良燃焼器構造
 
(3) 実圧燃焼試験
  a.  実機とほぼ同条件で試験を行いメタン濃度が燃焼に及ぼす影響について確認し改良を行い、100%メタン濃度(通常のメタン濃度88%程度)でも、燃焼振動を管理値内におさめることができた。
  b.  実圧燃焼試験結果による改良は以下のとおりである。
  (a) 当初、燃焼安定性確保のためスクープ孔にて空気配分の調整を実施したが、燃焼不安定のため、尾筒のスクープ孔面積の再調整を行った。
  (b) 尾筒メタル温度が一部計画より上昇していたため冷却対策として冷却孔の追加を行った。このことにより燃焼器全体として高温耐力が向上。

表-1 燃焼器実圧試験結果
表-1 燃焼器実圧試験結果
 
(4) 実機導入
   上記開発品について、定期点検に合わせ平成15年度に3-2系列、平成16年度に3-1系列へ導入を行った。
 
(5) BOG実機試験
   ガスタービン全台に導入後、実機によるBOG混入試験を行った。
試験に際しては環境条件(大気温度等)によって燃焼特性が変わることから、低・高大気温度時の実機確認試験を実施し、実運用における最大メタン濃度95.78%まで確認した結果、燃焼振動・メタル温度は全て管理値を満足していることを確認した。
[TOP]
5. 対策後の効果
  上記の開発過程で得られた成果を基に、実機運用後の経済性評価を行った結果を以下に示す。
(各数値については平成15年度実績値にて試算)
 
(1) 発電所負荷運用性の向上
   BOGの中圧LNG系統への混入が可能となり、熱効率の高いコンバインドサイクルプラントへの負荷の移行が可能となり発電所全体の燃料使用量の約0.2%節減(LNG6,780T/年)が可能となった。
 またこのことにより、CO2が年間1.8万tの低減が可能となった。
 
(2) 燃焼器の延命化
   冷却強化により燃焼器の寿命が従来比1.6倍となった。
 
(3) NOxの低減
   低NOx化により従来より燃焼器出口にて50%の低減が可能となり、アンモニアの消費量を1,200T/年削減することが可能となった。
 
6. まとめ
   今回3号ガスタ-ビンに適用できるBOG焚き可能な燃焼器の開発・導入を行うことにより、効率の高いコンバインドサイクルプラントでの発電量を増加することが可能となり、給電上の運用性の向上が図ることが出来た。
 このことにより効率差による燃料量の削減ならびにNOx、CO2等の環境負荷の低減が可能となり環境保全と経済性の両面から貢献できたと考える。
 
7. 今後の計画
   今回の対策完了後、平成17年度4月より本運用を開始しており、コンベンショナルプラントの最低負荷の低減が可能となり、運用性の向上が図られている。
 今後は燃焼器の延命化の検証を随時行っていくこととし、メンテナンスコストの削減に積極的に取り組んでいくこととする。
[TOP]
北海道地区 | 東北地区 | 関東地区 | 東海地区 | 北陸地区 | 近畿地区 | 中国地区 | 四国地区 | 九州地区
 
ECCJ Home | 総目次 | 17年度優秀事例目次 前頁 | 次頁
 
Copyright(C) ECCJ 1996-2010