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補助ボイラーの運用改善によるユニット起動損失の削減

  中部電力株式会社 尾鷲三田火力発電所
技術課 技術管理グループ

◎ キーワード: プラント起動時の動力合理化
◎ テーマの概要
   当発電所は従来1・2号機が主体で運転していたため、この1・2号機の起動用として補助ボイラーを設置した。しかし今後は3号機が主体となる運用となり、この補助ボイラーで3号機を起動する要求が高まったため、3号機起動方法の改善や補助ボイラー運用方法の改善に取組み、補助ボイラーによる3号機起動・停止方法を確立し、省エネ効果を得ることが出来た。
 
◎ 当該事例に対する実施期間 平成14年4月〜平成15年9月
  ・企画立案の期間
・対策の実施期間
・対策の効果確認期間
平成14年4月〜平成14年12月
平成14年12月〜平成15年9月
平成15年9月〜現在
(延べ9ヶ月)
(延べ9ヶ月)
 
◎ 事業所の概要
  生産品目 電気(総出力1,250MW)
従業員数 92名(平成16年4月1日現在)
発電電力量 662,261MWh(平成15年度実績)
  エネルギー年間使用量(平成15年度実績)
  【燃料】 174,822Kl(原油換算)
【電力】 108,712MWh
 
◎ 対象設備の工程
 図-1 補助ボイラー・発電用ボイラー概略系統図
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1. テーマの選定
   当発電所の1・2号機には排煙脱硫装置が設置されているため、使用燃料の幅が広く経済的であるために3号機よりも優先的に運転している。また、ユニット全台停止後の先発起動は1号機又は2号機で行うこととし、この起動時の補助蒸気を確保する目的で補助ボイラーを設置した。
 しかし、今後1・2号機の排煙脱硫装置が廃止となった場合、3号機を優先的に運転する方が低コストとなるが、3号機の起動停止で使用する補助蒸気を供給するために、1・2号機いずれかの運転が必要となり、「発電コスト増加」となってしまう。
そこで、補助ボイラーで3号機の起動停止をするべく、テーマを『補助ボイラーの運用改善によるユニット起動損失の削減』に決定した。
 
2. 現状の調査・分析
  (1)現状の運用
図-2 補助ボイラーによるユニットの起動・停止
 
(2)補助蒸気条件
《蒸気圧力》
 補助ボイラーの発生蒸気では、3号機の補助蒸気母管圧力が確保できず、バーナー噴霧蒸気圧力低下による不具合が懸念される。
表-1 補助ボイラーおよび各ユニットの補助蒸気圧力
図-3 補助ボイラーから3号機への蒸気供給不具合

《蒸気流量》
   3号機起動時の最大蒸気流量は、補助ボイラーの最大蒸発量を超過するため、補助ボイラーの容量アップ等の対策が必要となる。
表-2 補助ボイラーおよび各ユニットの蒸気流量

 以上の調査結果から、補助ボイラーで3号機を起動・停止させる必要な補助蒸気条件が満たされていないため、次の問題点が発生する。
問題点1 バーナー噴霧蒸気圧力低下
問題点2 補助ボイラーでは蒸気量が不足する
そのため、補助ボイラーで3号機を起動・停止させるには、大幅な設備改造か補助ボイラーの増設が必要となる。
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3. 目標の設定
   補助ボイラーの増設を行わず、3号機の先発起動・最終停止をさせよう!
 
4. 改善案の検討
問題点1 バーナー噴霧蒸気圧力低下
   バーナー噴霧蒸気圧力は通常1.13MPaにコントロールされているが、補助ボイラーから蒸気供給した場合、配管圧力損失等により0.74MPaまで低下すると予想される。「噴霧蒸気−煤塵特性カーブ」からバーナ噴霧蒸気圧力が低下すると、燃焼が不安定となり失火や煤塵発生量が上昇傾向になると考えられる。
図-4 バーナー噴霧蒸気圧力 図-5 噴霧蒸気−煤塵特性カーブ

問題点2 補助ボイラー最大蒸発量を超えている
 現状3号機の起動方法では、最大使用量が補助ボイラーの最大蒸発量を超過している。そこで起動方法を見直し、使用蒸気量の削減を図ることとした。
図-6 補助ボイラー蒸気使用先
   ユニット起動時の使用給水ポンプを蒸気駆動式からモータ駆動式に変更し給水ポンプ駆動用蒸気量を削減。

57t/h−11.6t/h=45.4t/h>補助ボイラー最大蒸発量
まだ削減量が足りない・・・どーしよう?
 逆に補助ボイラーの特性を利用できないか再度検討。
補助ボイラ蒸気温度>通常起動時の補助蒸気温度に着目!
(310℃)          (280℃)
 蒸気温度が高ければ使用蒸気量を減らしてもウォーミングが可能ではないかと考え、試験を実施し確認することとした。なお、目標削減量は蒸気使用量の裕度を考慮し4t/hとした。
ところが、  メーカより確認試験の実施には、試験用ボイラーの改造が必要となり多額(1千万円以上)の費用が必要、また、完全なデータ採取が可能か不明との回答を受け、試験用ボイラーでの燃焼確認を断念せざるを得なくなり、振り出しに戻された。
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5. 改善案の検討
問題点1 バーナー噴霧蒸気圧力低下
 バーナー噴霧蒸気圧力を通常の1.13MPa維持するには、配管圧力損失を考えると補助ボイラー蒸気圧力を0.98→1.37MPaまで引き上げる必要がある。
 図-7 補助ボイラー蒸気圧力検討
But! 補助ボイラーを1.08MPaまで引き上げてもバーナー噴霧蒸気圧力は0.83MPaまでしか上昇しない。
Wait! 過去に、短時間ではあるが噴霧蒸気圧力を0.83MPaに低下させて運転した実績があるぞ!!
噴霧蒸気圧力0.83MPaでのユニット起動・停止が可能か確認してみよう!
6. 改善案の実施
しかし・・・新たな問題が。
 補助ボイラー蒸気から3号機蒸気への補助蒸気源切替時に
補助ボイラー主蒸気温度の制限値(370℃)を超過してしまうかもしれない・・・。
このままでは3号機の起動スケジュールが遅れてしまう・・・。
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7. 新たな問題点の改善
 <問題点の分析> 補助ボイラー主蒸気温度は仕上がり温度(温度抑制設備なし)であり、燃料流量の追従に頼る部分が大きい。しかしこれ以上の燃料制御系調整は現設備では不可能である。
 <問題点の再分析> もう一度、データを分析してみよう。
図ー8 補助蒸気概略系統図
 
8. 評 価
  最終確認として総合確認テストを実施
9. 標準化
 
10. 効果の確認
11. 本格運用
12. 活動を振り返って
   4月からの机上検討に始まり、約8ヶ月におよぶ数々の検討と試験、夜間休祭日での確認試験の実施等、非常に苦労し試験を重ねた結果、目標を達成することができ意義ある取り組みとなった。
 今後も職場の省エネルギーに対しての意識の高揚を図り、業務を進めて行きたい。
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