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圧力連動インバータ制御システムによる油圧ポンプの省エネ

  アイシン精機(株)西尾工場
エネルギー分科会

◎ キーワード: 電気の動力、熱変換の合理化(電動力応用設備・電気加熱設備等)
◎ テーマの概要
   生産設備の大半に油圧ポンプが付いており、その省エネアイテムとして、一時期インバータ化が注目された。しかし、投資対効果及び作業効率の面で一部の大型設備しか導入されていない。特に加工、組付けラインの油圧ポンプは、3.7KW前後の小型モーターで台数も多い事もあり施工実績がない。私達は「簡単施工」「低コスト」「確実効果」を指標に、圧力連動型インバータシステムを作り上げ、従来困難とされていた、短期大量展開を実現、加工ラインの省エネルギーに貢献できた。
 
◎ 当該事例に対する実施期間 平成14年04月〜15年12月
  ・企画立案期間(試験研究
・対策実施期間 
・効果確認期間
平成14年04月〜15年03月
平成15年04月〜15年12月
平成15年04月〜16年02月
 
◎ 事業所の概要
  ・生産品目 自動車用部品(アルミ鋳造、マグネ鋳造、樹脂成形等)
トランスミッションケース、デリバリパイプ、ピストン、オイルポンプ他
・事業所内従業員数 1386名(平成16年3月現在)
  ・エネルギー年間使用量(平成15年度実績)
  LNG: 19,333千Nm3
LSA: 2,416KL
電 力: 105,169MWh
 
◎ 対象設備の概要
 
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1. テーマ選定理由
   生産設備の台数比率では、加工組付けラインが圧倒的に多く、また大半の設備に油圧ポンプが設置されている。油圧ポンプの省エネアイテムとして、数年前までインバータ制御を施工していたが、投資効率の面で7.5KW以上の一部の設備にしか展開していない。特に加工組付けラインの油圧ポンプは、容量が小さく、また台数が多いこともあり省エネ改善の対象としていなかった。しかし小容量とは言え数百台規模の消費電力は無視できず、改めて取組むことにした。
研究開発コンセプトは「低コストで簡単施工、確実効果」とし、加工ライン等の短期大量台数施工システムの実用化を目指した。
 
2. 現状の把握及び分析
  2-1:現状把握
   加工組付けラインの設備における正味消費電力の内、油圧ポンプの占有率が56%と高い。モーターの定格電力から見た正味消費電力は低いが、加工組付け設備の絶対量が多く総量は無視できない。
  2-2:現状の分析
 油圧ポンプの省エネ技術として
1] 1サイクル間欠運転
2] インバータによる回転制御
3] ダイキン製油圧ユニット「エコリッチ」への置換
4] アキュームレータによる間欠運転
が有るが、加工組付けラインの油圧ポンプ設置台数479台中省エネ改善しているものは32台程でインバータ化の実績は皆無である。
 インバータ化しない理由として1] 正味負荷が少なく省エネ効果が少ない、2] 改善施工に時間が掛かる、3] 小容量ポンプは投資回収率が合わない、が挙げられる。しかし既存技術の中では唯一低コスト化と簡単施工技術を実現できれば大量展開の可能性があります。
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3. 活動の経過
3-1:活動のアプローチと取り組み体制
 確実な評価と試験が出来るようにテスト機を製作、徹底した省エネ効率の追求と号口設備導入に向けた耐久試験が出来る環境を作った。
   そして1] アウトライン検討から4] 耐久試験までを環境技術係が担当、5] 号口設備への導入から7] 拡大展開までをエネルギー分科会の担当として活動を展開した。
3-2:目標設定
 三大指標である「誰にでも出来る簡単施工」「経費で出来る低コスト化」「施工者に左右されない確実効果」に基づき、独自の油圧ポンプインバータ制御システムを開発する。
3-3:問題点とその検討
 油圧ポンプのインバータ制御方法で1] 制御信号による多段制御方法は、シーケンスの改造を設備毎に設計する必要があり、試運転及び図面処理を含め非常に時間が掛かり、大量展開が困難である。
 2]圧力センサーによる無段階制御方式はサイクルタイムに影響出やすく、又センサーだけで予算オーバーとなる。
 3]圧力SWによる2段制御方式は、前出2方式の欠点を払拭し、配線が楽などの特徴があり、この方式でコスト削減と、効率UPを目差すこととした。
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4. 対策内容
4-1:簡単施工方法の検討
   インバータ取付け方法には、機械制御盤内蔵する方法と専用の盤を作る方法がある。今回は、コスト面で不利だが現地工事が簡単な、専用BOX方式を採用、またポンプ側に設置することでポンプの一部としユニット化することで、短時間施工大量展開が出来る。
4-2:確実効果方法の検討
 従来方式の欠点である「設計者に左右される効果量」と「正味効果が低い」と言う問題点を払拭するために、省エネに貢献するパラメータの設定と標準化を行なう。
1) 待機運転時の下限域周波数の決定
モーターの冷却効率とポンプの安定性を考慮し、下限を20HZまでとする。(省エネ率58%)
2) 待機消費電力を左右するパラメータ(トルクブーストと基底電圧)の設定値決定
トルクを3%に、基底電圧は190Vにすることで17%消費電力を下げることが出来た。
3) 自動運転時の上限周波数の決定(1サイクル運転時)
負荷時、上限周波数を標準60HZから50HZに落とす
4) 加速時間最適化によるサイクルタイム遅延抑制
※加速時間が標準設定(5秒)のままだとサイクルタイムに影響、短か過ぎると過電流異常が発生、また消費電力も増加する。
◆加速時間0.5秒が限界点で横展時の基準値とする。但しサイクルタイムに余裕が有る場合は1秒〜2秒に設定すると消費電力が3%〜5%前後減少する。
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4-2-2 テスト機による効果の確認
 ◆テスト機は比較的動作の多いもので、一般的には待機時間がこれよりも長く、省エネ効果も5%から10%は改善される。特に自動起動を人が入れる設備においては、確実な効果が期待できる。
4-3 低コスト化
 号口ライン展開に向け、仕様設定とコスト削減を行なうことにした。インバータ盤の仕様と制作費設定にあたっての前提条件として1] 低価格小型インバータ、2] 高調波対策DCリアクトル、3] 信号平滑用タイマー、4] 異常表示ランプの取付けを原則とし、総投資額の回収年数は3年以内とした。
結果、平均回収年数で3年以内に収まる、7.5KW〜2.2KWまでの油圧ポンプを対象に展開を進める。
なお、圧力SWは太平貿易(株)製TDV-4F、インバータは三菱電機製FR-E520を採用した。
4-4 具体的な施工方法
 施工は基本的4ステップで完了する。まずステップ1]既設の圧力計を外しチーズを取付け分岐し、圧力計を取付ける。ステップ2]インバータ盤を油圧タンクの上部または近くに取付ける。ステップ3]モーターと圧力SWの配線(モーターの配線を外しインバータへ、インバータから新たな配線をモーターに接続)ステップ4]電源を入れてパラメータ転送後モーター始動、圧力SWの調整して試運転完了。以上で工事は完了。特に試運転は従来では考えられないほど簡単で、5分もあれば終了する。
自動運転での動作確認も原則不要だが、一応念のため稼働日の朝一動作状態を確認する。
4-5 圧力連動インバータ制御対象外設備
1) トランスファーマシン 負荷変動が頻繁で効果が少ない。但し負荷変動が少なければ可能
2) 2連ポンプ 個々のポンプ吐出側に圧力SWの取付けを要し、コスト増となる。また負荷変動が頻繁で、効果も見込めない
3) ベーンポンプ ポンプ自体が、元々待機電力が少なく、効果が見込めない。
4-6 号口ラインへの展開状況
 2003年4月の連休3日間を利用し、デリバリ加工ライン 41台に施工した。抜き取りで効果を測定した結果、45%減と26%減など、平均でも30%以上の削減効果を出すことが出来た。
 しかし施工4ヶ月後の夏場にインバータ盤が過熱状態となった。直接故障は発生していないが、将来的な熱こもりによるトラブルを懸念し、また今後の拡大展開に向け、早急に対策することとした。
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4-7 インバータ盤熱こもり対策
 現状のインバータ盤には、放熱用ルーバーが取り付けてあり、またインバータにも冷却ファンがあるが、熱気は盤内で循環しているだけである。インバータに内蔵されているコンデンサーの寿命は、温度により大きく左右される。
◆温度とインバータ寿命についての調査
インバータに使用されているアルミ電解コンデンサは「アレニュウムの法則(10℃ 2倍法則)」が適応され、温度が10℃高くなると、寿命は1/2、10℃低くなると寿命は2倍に伸びる。
◆対策内容
BOX背面をカットし、そこからインバータの放熱フィンを外に出した。これにより発熱はBOX内に蓄熱されることなく効率よく冷却される。
但し冷却ファンが汚れやすいので、日常設備管理の中で清掃する。
4-8 号口ライン展開状況その2]:熱対策品の導入
 2003年7月に2日間で、含浸耐圧ライン17台に施工し、抜き取りの省エネ効果確認では、30%〜36%の削減効果を確認できた。以降毎週土日を利用し工事を進め、2003年12月末までに160台施工した。
4-9 既設ポンプへの適応率100%を目差して
 導入を進める中で、一部過負荷異常が発生し改造断念する事があった。現象から判断すると負荷に対しトルク不足が起因していると思われる。対策を検討中インバータの機能に磁束ベクトル制御モードがある事を知る。
 磁束ベクトル制御は、低速トルクが強く、急激な負荷変動に追従できる反面、標準のV/F制御に比べ、省エネ効率面で不安があった。しかし、テスト機で比較評価すると、油圧ポンプには当てはまらず、V/Fモードに比べ、3%前後消費電力が少ないことを確認、適応できなかった6台に、磁束ベクトルモードで運転を掛けると、問題なく動作、全てのユニットに水平展開した。尚、磁束ベクトル制御モードにすると、「トルクブースト」と「基底電圧」のパラメータは無効となるため、設定項目から除外する。
なお、ベクトル制御もしくはそれに相当機能は、主要メーカー各社のインバータにもある。
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5. 対策後の効果
6. まとめ
   今回の改善のポイントは、制御盤内は一切手を付けず、油圧ユニットの一部として、システムをユニット化することで、「低コストで確実に効果を出す」ことが出来、当初の狙いでもあった既存設備への、短期間大量展開が実現できた。また、社内外からの問い合わせも多く、高い評価を得ている。
 
7. 今後の展開
   更にコスト削減と省エネ効率を追求し今回対象外の1.5KWのモーターも展開できるよう改良を進める。
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