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2-1 製造工程
厚板工場では製品毎に様々な鋼材処理が施されており、以下にその処理フローを示す。
(図−1)
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図-1 厚板工場の鋼材処理フロー |
| 対象となった設備は、極厚材を主に処理するバッチ鋼材加熱炉、
比較的薄物を短時間で処理する連続鋼材加熱炉、温風にてコーティング剤を乾燥させる塗装鋼板乾燥炉である。
(表−1)
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表-1 熱設備処理形態

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2-2 現状分析
2-2-1 バッチ鋼材加熱炉の排熱回収能力
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| バッチ鋼材加熱炉は、2基設置されているが燃料原単位を比較すると1号炉は2号炉に比べ30%悪化していた。(図−2)
その原因としては、炉体構造・レキュの老朽化による損傷等が考えられた。(図−3) 設備改造を最小限に抑え、燃料原単位を低減させるには、排熱回収効率の優れたレキュへの更新が望ましい。
ただし、排熱回収率向上に伴なう高空気温度下でのバーナ燃焼は、サーマルNOx発生量に大きく起因することから、省エと環境対策を考慮した新型レキュの開発が急務となった。
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図-2 燃料原単位比の比較
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図-3 1号炉スタックレキュ構造と入熱
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| 2-2-2 塗装鋼板乾燥炉の乾燥能力 |
塗装鋼板乾燥炉は、用途に応じて着色・膜厚を調整塗布した塗料を乾燥させる設備である。
表面塗布後に1号乾燥炉で温風乾燥させ、裏面塗布のため反転して再度塗布し、2号乾燥炉で乾燥させる2段乾燥方式となっている。(図−4)
問題点は、1号乾燥炉出側において鋼板表面の乾燥不足が発生すると、反転した時ロールに塗料が 転写する現象が生じるため、ロール上で鋼板を一時停止させて自然乾燥をさせることから処理能力が低下していた。(図−5)
原因は1号乾燥炉の能力不足であるが、温風温度を上昇し過ぎると、塗料に発泡が現われ欠陥となるため、温風量増加策として、供給ブロワーの増設が検討されていた。
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図-4 塗装乾燥設備フロー
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図-5 鋼板処理能力
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| 2-2-3 連続鋼材加熱炉の冷却水損失熱量 |
連続鋼材加熱炉はウォーキングビーム方式であり、炉温は1250℃である。
装入した鋼材を抽出側に移動させるため、炉内には移動式と固定式のスキッドパイプが配置されている。(図−6)
高温下でのスキッドパイプ保護対策として、外周は耐火物、内部は冷却水で抜熱する構造となっているが、
冷却水損失熱量が過去に比べ増加しており、燃料原単位の悪化原因でもあった。(図−7)
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4-1 バッチ鋼材加熱炉の排熱回収能力向上 |
4-1-1 高効率排熱回収方法の検討
効果的な排熱回収方法を検討した結果、コンパクトでメンテ性に優れ、
安価な回転式レキュが最も適していると判断した。(表−4)
回転式レキュは、蓄熱体(エレメント)を排ガスにさらし、熱エネルギーを吸収した後、予熱空気と接触させる
仕組みで、蓄熱体を組込んだローターを回転させ(高温⇔低温)連続的に熱交換を行なう。(図−9)
適用に際しての問題点は、高温排ガス下(900℃)での実用化事例が無いことであり、解決すべき課題は
| (1) |
高温部の耐久性向上(摺動部のリーク対策含) |
| (2) |
高排熱回収率の確立 |
| (3) |
高温空気の低NOx燃焼技術 |
以上の3点である。
今回、フィールド試験機をバッチ鋼材加熱炉の煙道に設置して、性能を検証し実用化技術の開発を行なった。
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表-4 排熱回収方法の検討
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 図-9 回転式レキュの仕組み |
4-1-2 高温排ガスへの適用
バッチ加熱炉の排ガス温度900℃に耐えうる、構造上の改善を行なった。
| (1) |
高温排ガス部分のエレメント(蓄熱体)は耐熱性を考慮しSUS製に改善。 |
| (2) |
熱膨張による伸びを上方に逃がすため駆動部分を高温部から遠ざけるように
堅型下部駆動方式を採用。
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| (3) |
摺動部のシールは、SUS薄板を用いてクリヤランス設定により
高温〜低温のリーク対策を実施。(図−10)
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 図-10 回転式レキュ構造 |

4-1-3 燃焼空気のショートパス対策
回転式レキュは構造上、燃焼空気のショートパスが発生し易い。(図−11)
燃焼空気のシュートパス量が多くなると、高温排ガス吸引が困難となるため、排熱回収効率が低下する。
そこで、シール部分を更に強化してショートパス量を低減させる対策を行ない、吸引ブロワー増強等の設備費も抑え、予熱空気温度を上昇させた。(図−12)

4-1-4 安定操業法の確立
バッチ鋼材加熱炉の操業は、処理時間の短い材料では加熱投入熱量が多いため、
排ガス温度も一気に上昇する。そのため、回転式レキュ内部の高温排ガスにより蓄熱体やシール部分が急激に熱膨張し、
過負荷によるローター停止が懸念された。
急激な排ガス温度上昇を抑制するには、圧縮空気等で希釈コントロールする方法があるが、設備投資も必要でありエネルギーロスも大きい。
そこで、熱交換後に煙道へ排気される排ガスを循環することにより、蓄熱体等の急激な熱膨張負荷を軽減した。
その結果、排ガス温度900℃での設備安定操業法が確立できた。(図−13)
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 図-11 燃焼空気ショートパス現象 |
 図-12 排ガス温度と回収温度 |
 図-13 入側排ガス温度コントロール |
4-1-5 低NOx燃焼技術開発
燃焼用空気の高温化に伴い問題視されるのは、排ガス中のNOx値の増加である。
今回、排熱回収効率の高い回転式レキュの適用に伴いNOx対策は必要不可欠であった。
その環境対策として回転式レキュ特有の蓄熱体の回転により持ち込まれるエントランスリーク量を制御することで、火炎温度を低下させサーマルNoxの発生を抑制する技術を確立した。(図−14)
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 図-14 エントランスリーク現象 |
4-1-6 実機適用後の効果
| 高温排ガス(900℃)に排熱回収効率の優れた回転式レキュを適用したことと、
更なる排熱回収効率向上対策で、予熱空気温度が対策前の250℃から720℃に向上した。(図−15)
その結果、燃料原単位は対策前と比較して32%低減した。(図−16)
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 図-15 予熱空気温度向上代 |
 図-16 改善後の効果 |
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4-2 塗装鋼板乾燥炉の処理能力向上
4-2-1 乾燥能力向上策の検討
塗装鋼板乾燥炉は、塗装面の乾燥不足による処理能力ダウンが発生していたため、
ブロワー増強による温風量アップが検討されていた。そこで、現状ヘッダー風速分布を調査したが、幅方向に
偏差があることが判った。(図−17)同時に、乾燥不足は極端に風量が少ない部位に発生していた。
偏差を小さくしないと乾燥不足が解消できないことから、設備診断手法の一つである流動解析ソフトを活用し、
風速分布の均一化を図ることにした。
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 図-17 塗装鋼板乾燥炉設備概要 |
4-2-2 流動解析ソフトによる検証
図−18に示す1/1モデル装置を試作し、流動解析ソフトの検証を行なった。
その解析結果は、図−19のような風速分布となり、モデル装置の実風速分布とほぼ同等の結果となった。(図−20)
以上のことから改善案絞り込みの手段として解析ソフトが活用できることを実証した。
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 図-18 1/1モデル装置 |
 図-19 現状ノズル流動解析結果 |
 図-20 風速分布結果 |

4-2-3 乾燥基準の適正化による品質確保
ブローノズルの、吐出風速分布均一化を図る上で、品質確保は大前提であり、
乾燥基準を早急に作る必要があった。今回、図−21のような方法で、吐出風速と塗装膜厚別の乾燥状況を評価した。
その結果、吐出風速1〜3m/sec内であれば乾燥不足やシワ発生もなく、塗装面の品質も充分確保できることが判明したため乾燥基準とした。(図−22)
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 図-21 塗装鋼板乾燥ラボテスト装置 |
 図-22 吐出風速の適正化 |

4-2-4 風速分布の均一化
風速偏差低減の考え方を図−23に示す。一般的には風量の多い方の開口面積を小さくし、圧力損失を大きくする。
あるいは、その逆に風量の少ない方の開口面積を大きくし、圧力損失を小さくする事で、流体の吐出分布の均一化を図る方法がある。
今回は、設備改善の簡素化を考慮し、ノズルヘッダー内に邪魔板を設置する方法とした。
流動解析ソフトによる、吐出分布の解析を行ない、条件探索の水準を絞り込むことで、スピーディに最適形状を見出すことができた。
開口部は図−24に示すように、長手方向で面積を変える構造とした。その結果、ほぼフラットな吐出分布が得られることが判明し、即実機の改造に入った。
実機改造工事は、短工期を目標に必要最小限の改造とするため、ノズルヘッダー内に開口部が設けられたボックスを挿入する方法とした。
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 図-23 吐出風速均一化の考え方 |
 図-24 邪魔板形状と設置方法 |
4-2-5 実機適用後の効果
実機化後の吐出風速分布は、偏差が大幅に低減され全幅に渡って適正範囲をクリアできた。(図−25)
また、懸念されていた厳冬期における乾燥不足も発生せず、約7%の処理能力向上が図れた。(図−26)
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 図-25 改善後の吐出分布 |
 図-26 鋼板処理能力 |
4-3 連続鋼材加熱炉の熱ロス低減
4-3-1 高断熱ライニング方式の適用
連続鋼材加熱炉のスキッドパイプは、高温雰囲気下で強度を維持するため、水冷構造となっているが、冷却水損失熱が24%と悪化していた。
そこで、当所の熱延連続鋼材加熱炉で実績のある高断熱ライニング方式を適用した。(図−27)
その結果、冷却水損失熱を9ポイント低減させることができた。(図−28)
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 図-27 高断熱ライニング構造 |
 図-28 改善前後の損失割合 |