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1. 事業概要 | 2. 調査の方法 | 3. 省エネルギー技術戦略の見直しについて
4. 優秀事例にみる省エネルギー技術のスピルオーバーについて | 5. 省エネルギー技術コンファレンス
6. 優秀事例・機器の分析 | 7. 省エネルギーニーズ技術調査 | 8. まとめ | 報告書全文(PDF形式: 1,375KB)
 
4.1 はじめに | 4.2 スピルオーバーについて | 4.3 スピルオーバーの可能性の高い技術などの摘出と分類 |
4.4 需要サイドのニーズが高い技術分野
 
第4章 優秀事例にみる省エネルギー技術のスピルオーバーについて
 
 省エネルギー実施事例発表大会、省エネルギー優秀事例全国大会および工場のエネルギー使用合理化シンポジウムにおいて、本年度提案された省エネルギー実施事例についての解説を行った。ここでは、工場のエネルギー使用合理化シンポジウムの全国版テキストに掲載した内容を整理した。
 
  4.1 はじめに
     地球温暖化防止条約京都議定書が本年2月16日から発効した。数年後に迫った達成年(2008-2012)に向けてさらなる省エネルギーの促進を積極的に実行して行くことが必要となる。
省エネルギーは、コスト低減による産業競争力の向上と同時にエネルギー需給の安定化に貢献し、また、温暖化ガス排出抑制という企業の社会的責任も果たすという、一石三鳥の活動である。本年度も優秀省エネルギー実施事例の公募に158件の応募があり、各事業所・工場において年々省エネルギーの促進活動を計画的に、かつ、活発に進めていることが優秀事例に応募された中から伺える。いずれも多くの省エネルギー効果を挙げた実施事例であるが、その中から特に優れた案件、対策が困難な分野の改善事例や波及効果が高いと評価された案件など57件が表彰されている。
 ここではスピルオーバーの観点から、優秀事例の中に含まれる要素技術や省エネ手法などを摘出して同業種はもとより、異業種においても参考となる点を改めて指摘し、多くの方々にそれらを応用し、導入のための適応化検討の参考になる事例を紹介する。
 多くの事業所・工場のエネルギー管理担当者にとって、これまでも省エネルギー改善テーマの摘出を行い、コスト的に評価の高い方策は既に実施済みと思われているであろうが、さらなる省エネ対策に当たり、優秀事例に含まれる知識が次の省エネ改善計画、または過去の改善計画の再考においても参考になればと期待している。
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  4.2 スピルオーバーについて
     省エネルギーは、我が国の重要な施策の一つである。省エネルギー技術開発に関しては、2002年6月に省エネルギー技術戦略がまとめられた。これによると、技術による効果的貢献の方策の一つとして、技術ニーズに立脚した既存省エネ技術を部門・分野を超えて積極的に波及させるスピルオーバーの促進が重要と位置付けられている。
 スピルオーバー(Spill-Over)とは、水があふれ出る状態を表し、これから、通信分野では電波が漏れる状態、化学分野では触媒表面を化学種が移動し反応が促進される現象、経済分野では公共投資による派生的波及効果等を意味する専門用語である。省エネルギー技術分野では、業種横断的、基盤的な技術が他の分野・部門へと波及し、そこでの技術開発・改良により、より優れた省エネルギー技術になること、さらにこの技術が他分野・部門に波及し、循環的に技術が成熟することを意味する。
 優秀な省エネルギー技術を他分野・他部門に適用拡大することにより、開発費の重複した投資がなく、開発期間が短縮され、即効的であるという利点がある。省エネルギー効果の高い開発技術や省エネルギー事例は、多くの優れた要素技術や省エネルギー手法を包含しており、これをスピルオーバーすることにより省エネルギー促進に即効的な貢献が期待できる。
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  4.3 スピルオーバーの可能性の高い技術などの摘出と分類
[1]  エネルギー管理システムによる「見える化」で現状把握
[2]  これまでの固定概念を打破して設計値・管理標準を見直し、省エネテーマを発掘
[3]  使い切っていないエネルギーも有効に使う「残余エネルギーの利用」
[4]  コージェネレーション導入・運用方法の改善・高利用率化
[5]  ESCO事業の省エネルギー手法・活用
[6]  保温・断熱技術
[7]  洗浄・ブロアーの省エネと圧力空気消費削減の省エネ方法
[8]  塗装工程における乾燥工程集約化による省エネ
[9]  蒸気の省エネ
[10]  高効率機器への改造・更新
[11]  空調の省エネ対策・改善技術
[12]  用水の省エネ対策
[13]  インバータ対策
[14]  熱の有効利用/熱・物質の相互有効利用
[15]  生産能率向上・時間短縮によるエネルギーの削減
[16]  工程短縮・工程統合・並列運用・プロセスの簡略化などによる省エネ
[17]  最適制御とJIT「必要な時に必要なところへ必要な量のエネルギー供給」
 
  1) 省エネルギー技術戦略」検討会報告書2002年6月、経済産業省資源エネルギー庁
URL(http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002808/)
  2) JIT: Just in Time トヨタ自動車の生産標語。必要な時に必要な物を供給する。
  注) 事例大会予稿集は、省エネルギーセンターのホームページから「工場の省エネ」または「ビルの省エネ」から入り、「工場・ビル省エネ実施事例」から「平成16年度 優秀事例 地区大会発表事例 (応募事例数 158)」の地区大会発表事例で閲覧することができる。
(http://www.eccj.or.jp/succase/all/index.html)

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  4.4 需要サイドのニーズが高い技術分野
     事例の内容を調べると、省エネルギーの改善が求められる課題の事前調査と省エネテーマの絞り込みが詳細に記載されている。多くの事例に出てくるのは、固定エネルギーの削減、または、固定エネルギーと呼称していないが生産に連動しないエネルギー消費を低減できないかというテーマ提起が多数見られる。
 個別の技術としては、排熱の有効利用、圧縮空気系の省エネ対策、間欠運転化、回転数制御、乾燥・除湿、その他の多様なテーマが挙げられている。
 固定エネルギーの削減は、業種横断的なテーマであり、これを合理化しておくことが業務形態の変化や主力製品の変化に対して優位であると考えられる。
 過去の事例データから調べた「固定エネルギー消費の削減」に今回の発表事例で新たに一部を加えて見直した固定エネルギーの削減技術を表4.1に整理した。
 固定エネルギー消費は、従来からのユーティリティーシステムや低効率のエネルギー供給設備を保守し、運用しているケースと高度経済成長を見込んだ過剰設備投資を反映した要因も含まれており、エネルギー原単位を市場の盛衰に関係なく下方に維持しようとすれば、固定エネルギーの低減や生産比例エネルギー化を図る必要があり、それを今回の事例の中にも見出すことができる。
 優れた省エネルギー技術は、合理化によるエネルギー消費の低減に加え、利便性も向上し、広範囲への適用に対して柔軟性を有することが必要と考えられる。また、その評価としては、高効率化、低損失化、小型化、軽量化、適応化に加えて利便性の向上などがあり、利便性の中にはネットワーク対応や自己安全性なども含めた向上が期待される。
 これからの省エネルギー技術は、社会全体として、どれだけ多くの省エネルギー効果を生み出すか、その鍵の一つは普及である。スピルオーバーによって費用対効果が改善され、技術に裏付けられた利便性の優れた省エネルギー技術は、従来技術や競合技術に代わって普及して行くと考えられる。
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表4.1 表彰などの事例に見られる固定エネルギーを削減する手法
表4.1 表彰などの事例に見られる固定エネルギーを削減する手法
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